ハイカルチャーを志す「きつね」のネタ、実はお笑いの本流 ザ・ドリフターズにも通じる魅力を読み解くと

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カルチャー横断の芸人

 彼らのネタは「パリピ漫才」と呼ばれることもあり、同じくギャル男風のチャラいキャラクターを売りにしているEXITとも共通点が多い。この2組はコラボする機会も多く、ユニットとして一緒に楽曲をリリースしたり、ライブを行ったりもしている。

 きつねの2人はネタの中の音楽やダンスにも徹底的にこだわり、ファッションに精通していてファッション誌の誌面を飾ったこともある。あらゆるカルチャーのエッセンスをネタに取り入れていく彼らの芸風は、音楽におけるサンプリングに近いものがある。

 一昔前までは「芸人は笑いのことだけ考えていればいい」という風潮があり、見た目にこだわってかっこつける芸人は見下されるようなところがあった。だが、最近になって、きつねやEXITのように、カルチャーを横断して活躍する芸人が増えてきている。

 コメディアンであると同時にバンドマンでもあるザ・ドリフターズがやっていたように、もともと音楽やダンスなどをお笑いに取り入れるのは当たり前のことだった。きつねがやっていることは時代の最先端であると同時に、笑いの本流でもあるのだ。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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