【福島市5人死傷事故】97歳被告に執行猶予付き有罪判決で物議 収監された池袋事故・飯塚被告との違い

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ピントのずれた判決文

 だが若狭氏は「二人の被告の罪状認否が違ったのは事実ですが、判決にそれほど大きな影響を与えたとは思いません」と指摘する。

「池袋と福島の事故は、様態が類似しています。前者が実刑判決だったのですから、後者も実刑であるべきでした。福島の裁判も社会的な関心が極めて高いものでしたから、なおのこと裁判長は厳しい判決を下し、社会に警鐘を鳴らさなければならなかったと思います」

 高齢者の被告に実刑判決が確定しても、「著しく健康を害するときや生命を保てない恐れがあるとき」、また「70歳以上」の場合などで、法務省は刑の執行を停止することができる。

「執行猶予付き判決が出たのは、波汐被告が97歳という超高齢者だったことが影響したのでしょう。しかし、刑の執行停止は刑事訴訟法に明記されているのですから、この点からも実刑判決を下すべきだったと思います」(同・若狭氏)

 判決には《高齢者が自動車を運転しなくても不便を感じることなく生活できるような社会の構築が望まれる》(同前)との指摘もあった。

「この事故は被告が運転を続けていたことが大問題だったのです。社会の問題ではなく個人の問題であり、今回の事故の判決文に書く一文としては、ややピントがずれていると言わざるを得ません」(同・若狭氏)

註:「かけがえのないママを返して」妻亡くした男性、法廷で訴えた25分 97歳暴走5人死傷事故裁判【詳報】(TBS NEWS DIG:3月16日)

デイリー新潮編集部

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