「ガンダム怖い」に「ジュゲムクエスト」… 「ヲタク落語家」の春風亭吉好が語る原点

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 来たる5月に、落語芸術協会に所属する二つ目たちが真打昇進を果たす。桂翔丸(かつらしょうまる)(42)と柳亭明楽(りゅうていめいらく)(40)、そして“ヲタク落語家”を標榜する春風亭吉好(しゅんぷうていよしこう)(42)の三人である。

 中でも吉好は、人気アニメやコミックを巧みに取り込んだヲタク落語で知られた存在。落語界初ともいわれるマニアックな創作のきっかけは実に意外で、平成20年に東京・秋葉原で7人の死者と10人の重軽傷者を出した、無差別通り魔殺傷事件だったという。

 当の吉好が振り返る。

「事件が起きたのは、僕が師匠の元に入門する1年前。事件の衝撃があまりに生々しかったので、イメージが悪化した秋葉原を活気づけようと落研の仲間や芸人たちとイベントを企画したんです。僕の十八番のひとつ、古典の『あくび指南』をアレンジした『ツンデレ指南』もこの時に作ったもの。イベントで感じた手応えが、プロの道に進む決心を後押ししてくれました」

ヲタク落語会を主催

 千葉大学教育学部中退という変わり種。在学中に落語研究会の活動にのめり込むあまり、留年を重ねて8年も在学したという。その吉好が“ヲタク落語家”を名乗り始めたのはいまからちょうど10年前。二つ目に昇進した直後だった。

「落語芸術協会の先輩たちが作った『成金』というユニットが話題に。それで“個性を出さないと埋もれてしまう”と危機感を覚えたことで、自分が好きなヲタクの世界を落語に生かすことを思いついたんです」

“ヲタクの聖地”として知られる秋葉原をこよなく愛し、アニメやコミック、ゲームに関する知識は落語界随一と自信を見せる。

「めぼしいアニメ作品はもとより、お気に入りの制作スタッフや声優が関わっている作品は漏らさずチェックしています。コミックマーケットにも欠かさず参加して、同人誌やグッズを幅広く手に入れています。最近はヲタク落語会『もえよせ』を主催して人気の声優さんにゲスト出演していただいたり」

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