炎上CM「若者よ、選挙に行くな!」に今度は盗作疑惑 制作した「たかまつなな」はどう答えたか

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“元ネタ”は反トランプのCM

 例えば、アメリカ版では学校での銃撃事件が取り上げられた。3人の女性高齢者が「そうね、学校での銃撃事件は悲しいわ」、「でも学校にはもう50年も行っていないから」、「どの命が大切かなんて考えていられないのよ」と喋っている。

 日本の教育機関で銃の乱射事件が起きたことはない。そのため、たかまつ版では同じ教育というテーマから「学校におけるコロナ禍」に置き換えたという印象を受ける。高齢女性が「コロナで修学旅行がなくなった? かわいそうね~ 私の旅行は支援してもらったけどね」と喋っている。

「アメリカ版CMは2018年の中間選挙を見据えて、アメリカの広告代理店が制作しました。ただ、その意図は選挙啓発という文脈とは微妙に異なります。制作者が舞台裏を明かした文書がネット上に発表されていますが、投票率の低い若者を民主党に投票させることが目的だったとはっきり言及しています。若者を『投票するな』と挑発して怒らせることがCMの狙いだと説明しており、もともと日本人の感覚や風潮とは合わないところがあるのではないでしょうか」(同・記者)

 細かい点だが、笑下村塾の公式サイトでたかまつ氏は、アメリカ版CMを《大統領選挙の際にトランプ陣営を批判した動画》と説明した。確かに“反トランプ”という意図で制作されたことに間違いはないが、大統領選ではなく中間選挙だ。

オマージュ論争

 その一方で、たかまつ氏は公式サイトで、今回のCMは2本目であることも明らかにした。2019年7月に行われた参院選で、「若者よ、選挙に行くな」のCMを流したのが1本目。統一地方選のCMタイトルに【2023年ver.】と書かれていたのは、1本目と区別するためなのだろう。

「たかまつさんは公式サイトなどで、アメリカ版のCMを“オマージュ”し、自分たちのCMを制作したと説明しました。オマージュとは『敬意』を意味する英語で、《尊敬する作家や作品から影響を受け、似た創作物をつくること》などと解説されます(註)」(同・記者)

 この説明もネット上で議論となった。オマージュやパロディという手法を、選挙啓発のCMに使っていいのかという問題だ。

「まさに賛否両論となりました。『選挙啓発、若者の投票率向上という立派な目的なのだから、その制作意図は重視すべき』と、たかまつさんを擁護する意見も目立ちました。一方、芸術やお笑いといった『表現』の分野ならオマージュやパロディが技法の一つとして認められているが、選挙啓発など『言論』の分野にはそぐわないという批判も相当な数に達しました」(同・記者)

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