岡田監督“非情采配”に擁護派多数のワケ 山井とも朗希とも違う「完全試合」放棄で背負った“十字架”とは
巨人ファンも歴史的瞬間を見逃した
阪神の岡田彰布監督(65)が、七回まで完全試合ペースだったプロ3年目の村上頌樹(24)を交代させた采配に対し、擁護派が優勢の様相だ。この試合をテレビ解説していた江川卓氏、前巨人監督の高橋由伸氏、元阪神監督の真弓明信氏らは、村上の状態が限界に近く、チームの勝利のためには致し方なかったとの見解だった。NPB関係者で“続投派”は「個人的には投げさせるべきだった」とした里崎智也氏、西本聖氏らで少数意見。そのワケを探ると――。
阪神は4月12日の巨人戦(東京ドーム)、1-0の八回に一人の走者も出していなかった村上に代打・原口文仁が告げられると、阪神ファンが陣取る左翼席から一斉に驚きの声とともにブーイングが起こった。完全試合はプロ野球の歴史でも過去16人しか達成していない偉業。昨季、ロッテの佐々木朗希が達成するまでは1994年の槙原寛己(巨人)を最後に達成者がいなかった。NPBで捕手だったさる関係者は、「我々もそうだったが、巨人ファンでさえ歴史的瞬間を見逃したと残念に思ったのではないか」と語る。
村上は2軍ではタイトルに輝くなどしているが、1軍では未勝利だ。チームの先発陣の層の厚さで昨季までの2年間、なかなか出番に恵まれてこなかった。今季もブルペン要員で開幕を迎え、ローテーションの谷間で2年ぶりに先発のチャンスが訪れた。
確かに序盤のような三振を奪うような球威は落ちていたものの、七回まで84球にすぎなかった。四球を与えてもノーヒットノーランの可能性は残る。安打が出るまで投げさせるのがセオリーと言えた。
しかし、岡田監督はすぱっと交代に踏み切った。
阪神は試合前までの5試合で4得点と極度の得点力不足に悩んでいた。この日も最少リード。岡田監督が復帰し、初めて迎える巨人3連戦で落とせば2連敗で負け越しが決まる。原巨人は2008年に最大13ゲーム差を逆転され、辞任に至った相手でもある。自身が指揮を執った05年を最後にリーグ優勝していないチームを託され、開幕からまずまずのスタートを切った中で、今後を占う意味もあった3連戦だった。
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