アメリカ人の労働観に異変が起きている 景気後退でも労働力不足が続いているのはなぜか
「銀行が与信を引き締めており、米国の景気後退(リセッション)の確率は高まった」
JPモルガン・チェースのダイモンCEOは4月6日、CNNのインタビューでこのように述べた。ダイモン氏は米銀大手でリーマンショックを経験した唯一のCEOだ。
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米連邦準備制度理事会(FRB)によれば、商業銀行の貸し出しは3月最終週に約450億ドル、その前の週は約600億ドル減少した。減少幅は史上最大の規模だ。
金融不安は既に不調になりつつあった製造業にとって「泣き面に蜂」だった。
米サプライチェーンマネジメント協会(ISM)が3日に発表した3月の米製造業景況感指数は前月より1.4ポイント低い46.3だった。好不況の節目である50を5ヶ月連続で下回った。現在の水準は過去4回のリセッションの初期(1990年、2001年、08年、20年)と一致している。
危うい市場が続々と
中でも最も打撃を受けているのはテクノロジー企業だ。
3月10日に破綻したシリコンバレー銀行(SVB)が、テクノロジー企業にとって主要な資金の出し手だったからだ。SVBはベンチャーキャピタルが投資する米国のテック、ヘルスケア企業の半数と取引があり、他の商業銀行が取引を断るようなリスクが高いスタートアップ企業の経営を支えてきた(3月15日付日本経済新聞)。
有力なテクノロジー企業を生み出すシステムの根幹が揺らいでおり、米国経済の今後に赤信号が点滅していると言っても過言ではない。
不況の波はサービス業の分野にも及びつつある。
ISMが5日に発表した米非製造業景況感指数は前月より3.9ポイント低い51.2だった。市場予想(54.3)を下回り、サービス需要にも陰りが出てきた形だ。
アマゾンやウォルマートなどが物流の拠点とする倉庫の集積地、カリフォルニア州南部に広がるインランド・エンパイア地域も1年前に比べ様変わりだ(4月5日付ブルームバーグ)。この地域はロサンゼルス近郊の北米最大規模の港湾施設を通じた記録的な輸入のおかげで倉庫はモノであふれかえっていたが、今は閑散としている状態だ。
不動産市場もますます危うくなっている。
オフィス物件がリモートワークの定着を受けて打撃を被っていることに加え、好調だった部門にも逆風が吹いている。
1棟に複数世帯が入居する住宅のマルチファミリー物件(アパート)は個人の不動産投資の対象として最も人気があるが、今年第1四半期の売上高が前年比74%減の140億ドル弱となった(4月6日付Forbes)。アパート市場は新型コロナのパンデミックで急拡大し、2021年第4四半期には過去最高の1160億ドルに達したが、金融不安などの影響で人気ががた落ちとなっている。
米国のGDPの7割を占める個人消費にも 金融不安の影が忍び寄っている。
ニューヨーク連銀が10日発表した3月の消費者調査によれば、「1年前と比べて融資を受けることが難しくなった」と回答した割合は58.2%と過去最多になった。
大口の買い物である自動車のローン活用が減少することが見込まれ、今後、自動車販売が大幅に減速するリスクが指摘されている。
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