【叡王戦】藤井六冠が菅井八段に先勝 対局後、大盤解説場が笑いに包まれたワケ

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藤井の早口にお客さんが苦笑

 感想戦に先駆けて大盤解説場に登場した藤井の発言で、お客さんが笑う場面があった。藤井が自分の「読み筋」を披露するのがあまりに早口で、あっという間に10手先くらいまで口にしてしまったからだ。観客は「そんな速さで言われたって、ついていけるはずがないだろう」の意味で思わず笑ってしまったようだ。だが、こうした場でも将棋に没頭する藤井は、どうしてお客さんが笑ったのかわからなかったかもしれない。

 ABEMAで木村九段と交代で解説していた伊藤真吾六段(41)は「あれでも藤井さんにしてみればゆっくり話したつもりだと思いますよ」と打ち明けた。お客さんを前にしても頭の中は終わったばかりの将棋だけ。そこが彼の魅力なのだが、藤井が早口であることと声が小さいことは常々「取材者泣かせ」である。記者会見などで質問しても彼の答えが極端な早口と小声なので、置いていた録音機を聴き直してもわからないこともしばしば。

「あっ、はい。そうですね」と優しい声でまず答えるが、しばらく間を置いた後は一転して猛烈な早口になる。これだけは14歳のデビュー以来、全く変わらない。
(一部、敬称略)

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」(三一書房)、「警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」(ワック)、「検察に、殺される」(ベスト新書)、「ルポ 原発難民」(潮出版社)、「アスベスト禍」(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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