陸自ヘリ、真の目的は中国・人民解放軍「侵攻作戦」対策だった【麻生幾 緊急寄稿】

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 沖縄県・宮古島周辺で陸上自衛隊員10人が乗ったヘリコプターが消息を絶った事故から1週間が経過した。隊員たちの消息と共に事故原因も分かっておらず、現在も懸命な捜索が続けられている。作家・麻生幾氏が同事故に隠された“重大な事実”をレポートする。

軍事的な“重大関心状態”だった現場海域

 肝心なことが語られていない──最初、そんな気がしてならなかった。

 陸上自衛隊のヘリコプター「UH-60JAヘリコプター」が、宮古島と伊良部島(いらぶじま)の間で突然、レーダーから消えてから、防衛省は早々と「事故」だと公式に発表した──そのことがまず一つだ。

 また巷間(こうかん)話題となった“中国の攻撃説”の「中身」は、軍事的妥当性に欠けており否定するのは当然だが、ただ、それにしても防衛省は“早々”と否定した──そのことも気にかかった。しかもある防衛省幹部などは、一部メディアに「(中国の攻撃と考えることに)よくそんなことが思いつくものだ」という言葉を使ってまで、鼻で笑うがごとく一蹴したのである。

 ヘリコプターがロスト(消失)した同日、中国・人民解放軍は、前々より発表していたとおり、台湾周辺での軍事演習を開始しただけではく、沖縄本島と宮古島との間、また宮古島沖の海域(約200~250キロ)でも空母機動部隊が展開するなど、宮古島を含む先島諸島の海域と空域は、日米部隊にとって軍事的な“重大関心状態“だったことは間違いない。

 さらに言えば、展開していた人民解放軍は、戦闘エリアと指定する「AOA」(責任戦闘エリア)に宮古島を独自に入れていた状態であった可能性は容易く想像できた。

 であれば、その真っ直中での突然のヘリコプターのロストは、原因について、あらゆる選択肢を排除せずに対処するのが普通であろう。つまり、“中国の関与”についても、あらゆる情報を精緻に分析するのは当然だった。

 ではなぜ、防衛省は早々と「事故」と発表したのか──それは「謎」として捉えられてもおかしくない。

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