大谷翔平「800億円契約」報道、急騰のウラ事情 トレードでもFAでもない、意外に早い“第3の選択肢”とは

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プレーオフ黄信号なら風雲急

 だが、プレーオフ進出が危うくなれば、事態は風雲急を告げるという。

「大谷は開幕前にエンゼルスでのワールドシリーズ制覇をはっきりと目標に掲げた。逆に言えば、エンゼルスで実現する見込みがないなら、契約延長には応じないということ。エンゼルスは粘り強く強化のビジョンを示して慰留に努めることに並行し、拒否される事態に備え、多くのプロスペクト(若手有望株)の獲得が見込めるトレードを画策していくだろう」(MLB担当記者)

 残留交渉では強化のビジョンもカギだが、何と言ってもその金額が焦点となる。エンゼルスのオーナー、アート・モレノ氏は、今年3月に応じた地元紙とのインタビューで「(現時点で)マイク・トラウトとアンソニー・レンドンを除いて長期契約はない。財政面では柔軟性を持てる立場にある」と相応の“出血”に理解を示した。

 前出の代理人は「5億ドル規模は出す用意がありそうだ。それも契約年数を延ばし、ぜいたく税対策として年俸は抑制する。パドレスが(今オフの契約延長で)ダルビッシュ(有)とそうしたように。ただ、6億ドル規模は出せないのではないか」と同オーナーの言葉を読み解く。

エ軍に愛着「6億ドルまでいかなくても……」

 一方の大谷サイドだが、同代理人によると、エンゼルスの懐事情を見透かした上で、メディア戦略を駆使し、エンゼルスに揺さぶりを掛けているのだという。

「記者へのリークで条件のつり上げを操作するのは代理人の常套手段。このタイミングで6億ドルの報道が出たということは、代理人がこの水準の契約をエンゼルスが提示できるか、試しているように映る」

 モレノ・オーナーには資金力が豊富な球団とマネーゲームをしない考えもある。大谷がFAになれば、大都市に本拠地を置くドジャースやメッツなどが参戦するとみられ、その瞬間にエンゼルスとの決別が事実上決まる。

 それだけに、今夏のトレード期限までエンゼルは、大谷サイドとつばぜり合いを繰り広げていきそうだ。

「大谷は(エンゼルスの本拠地が)温暖なカリフォルニアだったからこそ二刀流がここまでの成功を収めた。それも二刀流が花開くまで待ってくれたエンゼルスだったからこそ。本人が認めるように、チームへの愛着はある。(契約金が制限される)25歳未満で渡米したことが象徴的だが、これまでもおカネだけでは進路を決めてこなかったのが大谷。エンゼルスが(7月の)オールスター戦までプレーオフ進出の可能性を残し、チーム強化の展望が見えていれば、6億ドルまでいかなくてもサインしても不思議ではない」(代理人)

 大谷の来季以降の契約は移籍、残留どちらにしてもNFLチーフスのQB、パトリック・マホームズが20年から結ぶ10年総額4億5000万ドルをはるかに超え、米プロスポーツ史上最高額は必至とされる。昨夏から全米が熱視線を送る両者の交渉は、いよいよ最終コーナーに突入しようとしている。

デイリー新潮編集部

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