「最大の激戦区」参院大分補選 自民新人“銀座クラブママ”猛追の理由と地元での意外な評判

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 統一地方選の前半戦が終了し、総定数に占める自民党の議席占有率は51.0%と過半数を確保した。しかし日本維新の会の「躍進」を目の当たりにし、後半戦に向けて自民党サイドは焦りを募らせているという。なかでも「総力を挙げて勝ちを取りに行く」と自民が意気込むのが衆参5補選のうち、“最重要選挙区”と位置付けられる大分補選だ。与野党一騎打ちの構図となって「五分の戦い」を繰り広げる“九州血戦”の舞台裏に迫った。

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 4月6日に各補選の先陣を切る形で告示を迎えた参院・大分選挙区補選(23日投開票)。9日投開票の大分県知事選に出馬した安達澄・前参院議員(落選)の辞職に伴うものだが、当初の予想を超えて“熾烈なデッドヒート”が展開されている。

 自民公認の白坂亜紀氏(56=公明推薦=)は東京・銀座で複数のクラブなどを経営する“オーナーママ”という異色の経歴を持つ新人候補だ。対する立憲民主党公認の吉田忠智・前参院議員(67)は共産・社民に加え、国民民主党県連からも支援を受ける「野党統一候補」として迎え撃つ側にある。

「4月初旬に行われた自民党の情勢調査では、白坂氏が吉田氏に5ポイント以上の差をあけられ苦戦が予想されたが、ここに来て、その差をグングン縮めて追い上げている。もともと大分は村山富市元首相の地盤で社民党を始めとした野党勢力が“牙城”とするエリア。その地で女性の新人候補が議席を奪取すれば、岸田政権への大きな追い風となる」(自民党関係者)

 実際、白坂氏の出陣式には世耕弘成・参院幹事長や小渕優子・組織運動本部長が姿を見せ、“挙党態勢”をアピール。岸田首相も今後「大分入りする予定」(同)という。

“因縁の地”での逆転シナリオ

 一方の立民の泉健太代表も「(大分は)最重点区で必勝区」と話し、みずから告示日に大分入り。与野党関係者の間からは「最大の激戦区になる」との声が日に日に高まっている。

「通常選挙も含めると01年以降、参院大分選挙区で自民は4勝4敗と苦杯を嘗め、“自公VSオール野党”の構図となった戦いでは全敗の“因縁の地”です。逆に立民にとっては“勝って当たり前”の選挙区だったものが、いまや白坂氏の追い上げで支持は横並びとされ、かつてない大激戦が繰り広げられています」(地元紙記者)

 白坂氏は大分県竹田市出身で、生家は「荒城の月」などの作曲で知られる瀧廉太郎が住んだ家として知られる。早稲田大学在学中に“女子大生ママ”として話題になり、その後、銀座でクラブ経営に乗り出すが、自身のクラブ「稲葉」の名は故郷の川から取ったという。

「公募で正式選出されたのが3月だったため準備不足は否めず、またNHK『プロフェッショナル』への出演歴などはあるものの、地元での知名度は決して高くなかった。いまでも女性からの支持は吉田氏のほうが若干上回っている一方、白坂氏は若い世代を中心に支持を伸ばしています」(同)

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