都が規制強化へ ホストクラブのド派手な「広告トラック」を走らせているのは店でもホストでもなかった

国内 社会

  • ブックマーク

店の懐は痛まない

「自主審査を受けることを求めております。ただし、条例で審査対象に定めているのは都内ナンバーの車のみです。都で2月に新宿と渋谷の実態調査を行ったところ、6日間で確認した広告トラック約70台のすべてが都外ナンバーだったことを確認しました」(東京都都市づくり政策部緑地景観課)

 つまり規制はザル状態になっていたのである。都は都外ナンバー以外も審査対象とするよう施行規則を改正していく方向で調整している、はたしてどのくらいの効果があるのか。

 というのも、ホストクラブにとって、あのトラックは今や営業に欠かせない必須ツールになっているからだ。

「何台トラックを走らせようが、店の懐は一切痛まないシステムになっています。あれを走らせているのはお客なんです」

 こう語るのは、昨年8月に「ホス狂い ~歌舞伎町ネバーランドで女たちは今日も踊る~」(小学館)を上梓したノンフィクションライターの宇都宮直子氏である。

「俺の顔が載ったトラックを見たいだろう」

「店の中でトラックはホストへの褒賞になっていて、一定の売上をクリアしたら自分の顔が載せて走らせてもらえます。ホストにとって広告トラックはステータス。だから、客に『俺の顔が載ったトラックを見たいだろう』『俺はトラックに乗りたい』と営業をかけるのです」

 それを業界では“トラック営業”と呼ぶそうだ。ホストに惚れ込んだ女性客は「夢を叶えてあげたい」とついついお金を落としてしまうんだとか。では、条件クリアとなる売上とはいくらくらいなのか。

「店にもよりますが、月1000万円くらいです」

 ネットで調べてみると、広告トラックを利用する費用の相場は3日間で50万円、1週間ならば100万円程度。店はべらぼうな額を中抜きしているとも言える。だから、広告効果があろうとなかろうとどうでもいいのだ。

「いわば『走るシャンパンタワー』ですね。なかには無理をして売り掛けで借金を残してしまう客もいます。あのトラックが歌舞伎町を走れば走るほど、苦労する女の子たちが増えていくということです」

 悲しい気持ちになる半面、不快に思う人もいるのでほどほどにしてくれとも言いたいところである。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。