三浦瑠麗氏はいまもフジテレビのご意見番 そもそも番組審議会の役割って何?

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テレ東にはTOKIOの国分が

 テレビ東京は次の通り。

 委員長・篠原弘道(NTT相談役)、荻野アンナ(慶應大学名誉教授)、草野満代(フリーアナウンサー)、国分太一(タレント)、島本理生(作家)、杉山愛(スポーツコメンテーター)、野木亜紀子(脚本家)、藤井彰夫(日本経済新聞社常務執行役員論説委員長)、吉野弦太(弁護士)。

 篠原氏のNTTは在京キー局と地方局を結ぶマイクロ回線を提供するなど、テレビ界との関係が古くから極めて深い。元NHKアナの草野氏は2017年までテレ東の情報番組「L4 YOU!」のMCを務めていた。

 TOKIOのメンバーである国分は、2014年から9年連続で「テレ東音楽祭」の総合MCを務めている。野木氏は2020年にテレ東のドラマ「コタキ兄弟と四苦八苦」を書いた。藤井氏の所属する日経はテレ東の親会社で、ずっと社長を送り込んでいる。

 最後にフジである。

 委員長・但木敬一(弁護士)、副委員長・岡室美奈子(早稲田大文化構想学部教)、井上由美子(脚本家)、小山薫堂(放送作家・脚本家)、最相葉月(ノンフィクションライター)齋藤孝(明治大文学部教授)、舞の海秀平(大相撲解説者)、三浦瑠麗(国際政治学者)。

 但木氏は第23代検事総長。各局の委員には弁護士が多いが、大物だ。井上氏はフジでは2019年のドラマ「シャーロック アントールドストーリーズ」などを書いた。

 小山氏はフジなどが出資した公開中の映画「湯道」を企画し、脚本を担当した。斎藤氏は「Live News イット!」のコメンテーターを務めている。

もはや“局側”の人間も…客観性はどこに

 一通り見ると、局とビジネスで関係している委員が多い。放送法には委員の条件について「学識経験を有する者」としか書かれていないから、法的には問題ないのだ。

 もっとも、自分やほかの委員が関係する番組をどう審議するのだろう。放送法の記述が曖昧すぎる。与野党ともに放送法を俎上に乗せるなら、こういった点の是非を話し合うべきだ。番審の規定が放送法に盛り込まれたのは1959年で、もう60年以上が過ぎている。

「テレ東音楽祭」の総合MCを9年務めている国分は、この番組の件に限ると、もはやテレ東側の人間と言っていい。この番組がテーマになった時、どうすれば客観的な意見が言えるというのだ。

 また、テレ朝の藤田氏、日経の藤井氏のような局の首脳と関係が深い委員は、番審とは別の場で意見を言ったほうが良いのではないか。

 BPOには放送倫理検証委員会、放送人権委員会、青少年委員会があるが、いずれも第三者性を保つため、テレビ局など放送事業者の役職員以外によって構成される。評議員会も同じ。番審も第三者性を保つべきではないか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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