「中国軍が来たら投降する」台湾“最前線の島”のリアル 一方で民間の軍事セミナーが活況

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 3月末、台湾の蔡英文総統(66)が4年ぶりに米国を訪問。中国の激しい反発を尻目に、米台は「台湾有事」に備えた連携を着々と強化する構えだ。だが、実際に最前線で暮らす台湾人を取材すると、聞こえてきたのは日本人が知らない意外な“本音”だった。【広橋賢蔵/台湾在住ライター】

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 台湾有事は日本有事――。故・安倍晋三元総理が唱え続けて有名になった言葉である。事実、台湾島が中国人民解放軍の手に落ちれば、日本が原油輸入の90%以上を依存する中東との海上交易路は敵の意のままとなる。米軍高官も「台湾を一度でも失ったら、われわれは二度と取り返すことはできない」と断言している。米軍はハワイまで撤退し、中国が西太平洋全域を勢力圏に収め、日本は実質的に中国の属国となるだろう。

 そこで日米両国では目下、中国の台湾侵攻=台湾有事に備え、急ピッチで軍事力の強化を進めている。しかし、ウクライナの例を見てもわかるように、前提となるのはあくまでも台湾自身が中国に抵抗することだ。台湾の人々は、自国に迫る危機をどのように受け止めているのだろうか。

中国の脅しは「ポーズだけ」と語る台湾の人々

 1989年6月、筆者は天安門事件の衝撃に揺れる北京での語学留学を終え、同年8月に居住地を台湾に移した。以来34年間、台北に暮らし、台湾人の妻と結婚した。昨年には、中華民国(台湾)に帰化申請して認められた。つまり私自身、今では台湾人の一人でもあるわけだ。

 そんな私の目から見る限り、台北市民は普段、日本人が考えているほど「危機」を感じていない。私の台湾人の友人は当然のように中国とのビジネスを続けているし、「中国の脅しはいつものこと。ポーズだけだし、フェイクでわれわれを混乱させたいだけ」などと鷹揚としたもの。彼が特殊なのではなく、これはごく一般的な台湾人の反応だと思う。

 では、最前線に暮らす人々はどうだろう。実は台湾=中華民国は、台湾本島以外にもいくつかの離島を実効支配している。中でも、中国大陸の福建省から目と鼻の先にある金門島と馬祖列島は、台湾にとって対中紛争における最前線の砦だ。

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