今の坂本勇人は負担軽減のためにコンバートしても復活しない…打撃の天才であるが故にハマった“落とし穴”とは
コンバートの成功例
まさに坂本は背水の陣で今シーズンに臨んだ。しかし、まだ開幕したばかりだとはいえ打撃成績は低迷している。
球界を代表するスラッガーの大スランプなのだから、YAHOO!ニュースのトピックスに記事が転載され続け、プロ野球ファンの関心が集中するのも当然だろう。
「これだけ深刻な打撃不振となると、坂本選手のコンバートが再び議論される可能性があります。成功例も少なくありません。古くは阪神の藤田平さん(75)が体力の衰えと共に70年代後半からファーストでの起用が増えました。79年には肉離れでシーズンを棒に振りましたが、81年に見事ファーストとして首位打者に輝き、この年のカムバック賞も受賞しています」(同・記者)
ヤクルトの宮本慎也(52)も球界を代表する名ショートと評価されていたが、次第に体力が衰え、2008年にサードへコンバートされた。
13年10月の引退試合のセレモニーでは、サードへのコンバートを「選手寿命を延ばしていただいた」と振り返り、決断を下した高田繁監督(77)に感謝の意を伝えた。
コンバートは無意味!?
だが、野球解説者の広澤克実氏は、「コンバートで坂本くんの守備の負担が軽くなっても、打率や長打率は復活しない可能性があります」と言う。
「一般論として、ショートの激務に耐えられなくなったベテラン選手を他のポジションにコンバートすれば、復活を遂げることが多いのは事実です。もし坂本くんが誰にも明かしていないケガをしていて、ショートの守備がコンディションを悪化させているのなら、コンバートは成功するかもしれません」
その一方で、もし坂本に大した故障がないのだとしたら、コンバートをしても意味がないという。その理由を広澤氏は「坂本くんのバッティングフォームに気になる点があるからです」と指摘する。
「技術的な説明は難しいので割愛しますが、坂本くんのバッティングフォームは極めて独特です。昔から『なぜあんなフォームで、あんなに打てるのだろう』と不思議で仕方がありませんでした。真似をしようと思ってもできません。普通のバッターならインコースとアウトコースではフォームを変えます。ところが坂本くんは、インコースもアウトコースも同じフォームで打ってしまうのです。要するに坂本くんは、バッターとして天才であり、彼のフォームは天才の証なのです」
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