今の坂本勇人は負担軽減のためにコンバートしても復活しない…打撃の天才であるが故にハマった“落とし穴”とは
坂本、驚異の長打率
【坂本勇人】
打率:3割4分4厘(2016年)
本塁打:40本(2019年)
出塁率:4割3分3厘(2016年)
長打率:5割7分5厘(2019年)
【今宮健太】
打率:2割9分6厘(2022年)
本塁打:14本(2017・19年)
出塁率:3割5分2厘(2022年)
長打率:4割4分5厘(2020年)
【源田壮亮】
打率:2割7分4厘(2019年)
本塁打:4本(2018年)
出塁率:3割3分3厘(2018年)
【中野拓夢】
打率:2割7分6厘(2022年)
本塁打:6本(2022年)
出塁率:3割2分1厘(2021年)
長打率:3割4分6厘(2022年)
こうして比較すると、坂本の傑出した打撃成績が改めて浮き彫りになる。2016年、坂本は打率3割4分4厘で首位打者に輝いた。ショートでの首位打者はセリーグ初という快挙であり、今に至るまで2人目は出ていない。
ちなみにパ・リーグでも2人しかいない。西鉄(現・西武)の豊田泰光(1935~2016)が1956年に打率3割2分5厘で、ロッテの西岡剛(38)が2010年に打率3割4分6厘で首位打者に輝いた。
「ショートというポジションは“守備の要”であり、求められる運動量が非常に多いのが特徴です。“守るだけで精一杯”という傾向はキャッチャーに似ています。今宮、源田、中野の各選手は球界を代表する守備のスペシャリストですが、打率はいずれも2割台。本塁打は少なく、長打率も低い。ところが坂本選手は打率が高いだけでなく、本塁打も量産してきました。これほど長打率の高いショートは前代未聞でしょう」(同・記者)
ショートにこだわる坂本
それでも徐々に坂本の成績は落ちていった。2021年のシーズンは117試合に出場するも、打率2割7分1厘、本塁打19本、長打率4割6分7厘という成績だった。キャリアハイと比較すると、どうしても見劣りしてしまう。
さらに昨年の22年シーズン、坂本はケガに泣かされた。3月21日、練習中に左内腹斜筋筋を負傷。開幕3戦目の27日に復帰したが、4月30日には右膝内側側副靱帯を痛めてしまう。結果、出場は83試合にとどまり、打率2割8分6厘、ホームラン5本、長打率3割8分2厘と不本意な成績で終わった。
坂本は22年11月の秋季キャンプではスポーツ報知、23年1月の自主トレでは日刊スポーツの取材に応じた。
スポーツ報知の記事では、原辰徳監督(64)から負担の少ないファーストへのコンバートを打診されたことを自ら明かした上で、あくまでもショートのポジションにこだわる決意を語った(註1)。
日刊スポーツの記事では、《年齢とともに体が少し硬くなっている》と加齢の影響を率直に認めた。
坂本は身体の可動域を広げるトレーニングを増やし、パワーと俊敏性の両立を目指した。また、侍ジャパンの栗山英樹監督(61)からWBC代表の打診を受けたが、《シーズンに集中したい》と断ったことも明らかにした(註2)。
[2/4ページ]