レッドソックス「吉田正尚」の不運 記念ボールがとんでもない金額で取引きされる事情…ヤ軍「ジャッジ」の場合

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返礼品の驚くべき内容

 高値が保証されている記念ボールをキャッチしたファンが理性を保つのは難しいかもしれない。例えば、ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(30)は去年、ア・リーグの年間最多本塁打の記録を更新する62号を放ってその名を不動のものとした。

 その際、60号は本拠地のヤンキースタジアムで飛び出し、男性ファンがホームランボールを手にした。後にアメリカのメディアが取材したところでは、約10万ドル(約1300万円)の値が付くのは確実で、最高で約15万ドル(約2180万円)まで跳ね上がる可能性もあったという。

 もし男性が記念ボールをネットオークションに出品すれば、巨額の利益を手にしたかもしれない。だが彼は、まったく見返りを求めず、即座に記念ボールをヤンキースに返却した。

 後に男性はヤンキースタジアムに招待され、ジャッジと写真を撮ったり、サイン入りのバッドやボールをプレゼントされた。カネより栄誉を選んだと言えるかもしれない。

 ちなみにタイ記録の61号はブルペンに落ちたため、そのままヤンキースが確保。62号はジャッジが「戻ってきたら嬉しいが、ファンの権利は尊重する」などと事前に発言。ボールを手にしたファンは紆余曲折を経てオークションに出品、約2億円で落札された。

 ちなみに日本の野球殿堂博物館は、王貞治氏(82)の600号、700号、714号、715号、755号、756号、そして800号のホームランボールを保管している。

 見事なコレクションだが、博物館の公式サイトには関係者が充分な“配慮”を行ったことが紹介されている。具体的には、返礼品の品揃えがなかなか充実していたのだ。

 この記事では世界新記録を達成した756号の返礼品だけをご紹介するが、《グアム旅行、伊東温泉招待、王のCMでおなじみ亀屋万年堂の菓子1年分と、当時のお金で38万円相当の超豪華プレゼント》だったという。

グリーン・モンスター

 レッドソックスは吉田と2027年までの5年間で年俸総額9000万ドル(約124億円)の大型契約を結んだとはいえ、まだ吉田はMLBでは実績のないルーキーだ。球団側も破格の返礼品を提示するわけにはいかなかったのだろう。

「吉田選手の初ホームランが飛び込んだ場所も、ファンと球団の交渉決裂に影響を与えたかもしれません。レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークのレフトフェンスにそびえ立つ通称『グリーン・モンスター』の上に設置された外野席でボールがキャッチされたのです」(同・友成氏)

 フェンウェイ・パークはボストンの中心街に位置し、球場が建設された場所はもともと狭い沼地だった。本塁からレフトフェンスまで約94メートルしかないのだが、街の中心地に建つため野球場の拡張は不可能だ。

 そこで簡単にホームランが出ることを防ぐため、レフトフェンスに高さ約11・3メートルの壁を作った。1947年に緑色に塗られたことからグリーン・モンスターと呼ばれるようになった。

「グリーン・モンスターの席は人気があり、チケット代は日本円で1万円を超えます。試合によっては3万円に達するケースもあります。ボールをキャッチしたファンは高額な観戦費を負担したことから、元を取るために吉田選手のボールは返さず、将来の値上がりに賭けようと決断したのかもしれません」(同・友成氏)

デイリー新潮編集部

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