全国初、徳島県警捜査1課に新設された「検視隊」 リーゼント刑事が解説する“伝統的な事情”
年間1000体もある変死体
検視など遺体に関する業務全般を担う組織「検視隊」が、4月1日に徳島県警捜査1課に新設された。遺体に関する専門部署の設置は、全国警察でも初だという。
検視とは、病院で医師が正式に看取った以外の変死体(病院に搬送直後に亡くなったケースも含む)に対し、死因や事件性の有無を調べること。犯罪被害の見落としを防ぐ重要な仕事である。
「変死体が出ると、所轄警察署刑事課の係長(警部補)をメインに死体を調べます。着衣の乱れ、外傷など遺体の状態、簡易尿検査による薬物摂取の有無などを調べます。また、所轄だけでなく、本部の捜査1課から検視官が現場に臨場します。必要なら、専用機器で死後CT検査まで行い、本部と所轄のダブルチェックでご遺体が自然死なのか、自殺なのか、あるいは事件性があるのかを判別します」(徳島県警捜査1課)
検視官は刑事経験10年以上で、警察庁で行われる法医学の研修を受けたベテラン。徳島県警には4人いるが、とにかく多忙な仕事だという。
「当県では、年間約1000体の変死体を扱います。1日平均で2~3体に対処するのですが、1体にかかる処理時間は1日で済めばいい方で、何日もかかる場合がほとんどです。そのため、各警察署の負担が大きくなることから、刑事や鑑識の経験があり、検視業務に長けた警察官を県下から集め、総勢35名体制で発足しました。検視がメインではありますが、亡くなった方の生活状況など必要な捜査を行い、ご遺体を遺族に引き渡すまでの作業も含みます。」(同)
ちなみに、徳島県警における犯罪死の見逃し=誤検視はこれまでゼロ。前述したような細かい検視作業を行っているからだが、ここまで作業をする警察本部は珍しいという。というのも、今回の「検視隊」発足とも関連するが、徳島県警ならではの伝統がある。
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