大企業の「優遇措置」を守ろうとする族議員、宗教法人の非課税特権 不公平すぎる日本の税制の実態

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「国家の仕事を代行」という建前

 坊主丸儲け。宗教法人への税制優遇はそんな言葉で揶揄されてきたが、今では「統一教会の思う壺」と表した方がしっくりくるのではないだろうか。

「宗教法人全体はともかく、反社会的な宗教法人については、税務当局がもっと目を光らせるべきです」

 とは、全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人の山口広弁護士である。山口弁護士が俎上に載せるのは、もちろん“あの団体“だ。

「統一教会は、以前は壺を高額で信者に売り、最近でも巨額献金した信者さんに書籍などを授与するといったやり口で事実上の売買をしている。この行為はもちろん、そうして得た利益が非課税というのは、ホントに正しいのかと思います」

 と、国民の気持ちを代弁してくれるのだ。なぜこんなことが起こるのか。

 現行の税制では、宗教法人は固定資産税が原則ゼロ。法人税も、宗教行為に基づく所得は無税で、収益事業についても、通常の法人が税率23.2%のところを19%へ減免されている。

 これには、宗教法人の活動が人々の心の安寧を図る公的行為であり、国家の仕事を代行しているからという建前がある。

 壺の購入は金額が相場とかけ離れた喜捨。そのため収益ではなく宗教行為と認められ、減免どころか税金すら取られないというカラクリなのだ。

 こうした優遇措置によって巨大宗教団体は巨万の富を築いてきた。例えば、創価学会は全国に1300カ所といわれる不動産を持ち、その資産は10兆円とも指摘されるほど。先頃、大川隆法総裁が亡くなった幸福の科学も2千億円程度の資産を持つといわれる。

「固定資産税はともかく、法人税に関しては、原則課税でよいと思います」

 とは、前出の三木前学長。

「それでも、細々やっている寺や神社などはおおよそが赤字なので、結局、税負担は生じないんです。つまり、宗教とビジネスの狭間で巨万の富を得ているところだけに税がかかる仕組みになる。その方が、国民の疑念を招くことはなくなるのではないでしょうか」

 すべての宗教法人が一般法人並みの税負担をすれば、年間4兆円の財源が生まれるとの試算もある。

「日本には宗教法人が18万もある。うまみが広く知られているからこそでは」(同)

もっとも優遇されているのは国会議員

 統一教会は「壺の販売に関わったことはございません」と答える。

 こうした宗教法人への課税論はこれまで多々呈されてきたが、決してメスは入らなかった。なぜか。理由は政治と宗教との密接な関係にある。創価学会は公明党の支持母体であるし、統一教会と自民党との間柄もご承知の通り。票につながるとあれば、政治家が配慮するのは当然の話だ。

「その国会議員こそが、実は日本でもっとも税制上、優遇されている存在ということをご存じでしょうか」

 と三木前学長が続ける。

 国会議員の収入である歳費には所得税がかかる。サラリーマンが給与所得に税を支払うのと同じだ。一方、

「我々が雑所得を得たら、申告し、課税されますよね。国会議員にとって第二の財布であるのがいわゆる文書通信交通滞在費。政治活動に関連する文書の通信発送などに使うのが建前ですが、議員個人に振り込まれ、使い道も報告しなくてよい。実態は歳費と変わりませんが、これには課税されません」

 その額は1人年間1200万円にも及ぶ。その他にも、立法事務費や政党交付金など、国会議員には年間総額1億円程度が付与されるが、歳費以外は非課税なのだ。

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