おひとりさま急増で「相続人のいない遺産」「遺体」はどうなる? 人ごとではない終活最新事情
身寄りも遺言もない場合
Q5 おひとりさまのお墓、納骨や埋葬についての留意点を教えてください。
自分の遺骨をどのようにしてもらいたいか、あるいは墓をあらかじめ決めておくことが肝要です。私自身は、納骨の代行をしたことはありませんが、遺族のいない人の代わりに、遺言に従って散骨を行ったことがあります。身寄りがなく、かつ自分が入りたいお墓がある場合は、遺言執行者や葬儀会社、お寺に頼んでおくようにします。これも死後事務委任契約で決めておくことは可能です。
こうして埋葬された後、誰もお墓参りに来なくなっても、寺や納骨堂との契約により、30年なら30年の墓地管理費を払っていたら、その間は管理してくれるでしょう。
しかし、契約期間が過ぎれば、寺の方で撤去する手続きは法的に非常に手間がかかるので、そのまま放置ということになりがちです。
では、身寄りがまったくなく、そのうえ遺言も何もない人が死亡した場合は、どうなるでしょうか。
引き取り手のない遺体は、自治体が費用を出して、地元の葬儀社に引き取ってもらって火葬することになります。
遺骨は自治体が預かりますが、引き取り手のない遺骨の扱いに関する法令は何もありません。墓地埋葬法に基づき、死亡地の市区町村が埋葬・火葬を行うことが定められていますが、火葬した後の焼骨の埋葬については、法律で規定されていないのです。そのため、遺骨が役所内のロッカーでずっと眠っていたという事件も過去にはありました。
例えば、横浜市のように、遺骨を預かる際の規則を策定し、何年かは市で預かって、その後は市が運営する公設霊園の永代供養墓に無縁仏として合祀すると決めているような自治体もありますが、少数だと思います。
身寄りのない人が誰かに相談したい場合は?
おひとりさまの人が死んだ後、その遺体は警察が回収してくれます。遺体の引き取り手がいなくても、自治体が葬儀社に依頼して火葬してくれます。でも、火葬した遺骨は自治体に戻って合祀されてしまったり、究極的には役所のロッカーに置かれてしまったりするかもしれない。財産があっても国庫に帰属したり、休眠預金になったりする可能性がある。それが嫌なら、また自分の希望が何かあるのであれば、事前に準備するべきでしょう。
身寄りのない人が終活について誰かに相談したい場合は、弁護士や司法書士のほか、最近増えている民間の身元保証会社、葬儀会社、終活関連のサービスを展開している信託銀行などに尋ねてみましょう。終活サポート事業を行っている自治体や社会福祉協議会に相談してもいい。
「おひとりさま」が亡くなった後に起こること、その死後の手続きについて解説してきました。自分が死んだ後の憂いを解消するためにも、専門家のアドバイスを受けながら、手始めに遺言を書いてみることをお勧めします。
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