おひとりさま急増で「相続人のいない遺産」「遺体」はどうなる? 人ごとではない終活最新事情
「連絡カード」を作る
Q4 おひとりさまが亡くなったとき、遺体はどうなるのか。死亡届の提出や葬儀は誰がどのように行うのでしょうか。心配です。
病院で亡くなったのではなく、孤独死や旅先での死のような場合は、まず警察が対応することになります。
そこで自宅を隅々まで調べたり、財布の中の身分証を調べたりして、身元や遺書の有無などを確認します。その情報から、警察が親類や知人らに連絡するという段取りになります。
身寄りがなくても、遺言で遺言執行者を指定している人については、その遺言執行者に連絡することになります。警察から死亡の連絡がきちんと行くように、財布などに遺言執行者の連絡先を入れておくことが重要です。
私の場合は、私の連絡先が書いてある「連絡カード」というものを基本3枚作成して、依頼人に渡しています。傷まないように、しっかりとラミネート加工したものです。それを財布の中に入れたり、自宅に来た人がすぐ分かるように、冷蔵庫にマグネットで貼ったりしておくのです。周りの友人や親類にも渡しておくようにアドバイスしています。
故人の住む地区の町内会長さんとか、隣近所の人から、遺言執行者である私のところに連絡が来ることもあります。もちろん、死亡を確認した警察から直接、というケースもあります。「今うちの署の霊安室にご遺体があるのですが、引き取ってくれませんか」といった電話をもらうのです。
次の手続きは?
遺体の引き受け先が決まると、次の手続きとして、親族などが自治体に死亡届を提出し、葬儀、火葬、納骨の準備に入ります。
また、死後事務委任契約といって、葬儀会社や身元保証会社、遺品整理会社、一般社団法人、弁護士などと死後の手続きに関する別の契約を締結する方法もあります。受任者はその契約に基づき、依頼人の葬儀や納骨・埋葬、遺品整理などに関する事務を履行することになります。
ただ、あくまでも死後の事務に関する手続きだけを依頼するようにした方が安心です。財産の処分を伴うものについては、やはり遺言を作成し、遺言執行者に執行してもらった方が確実です。
専門の業者が安心
これまでいろいろ検討した結果、死後事務委任契約ではなく、遺体の引き取りから葬儀・納骨、遺品整理まですべて遺言に書いておくのが最善だと私は考えています。遺言で指定された遺言執行者は死後の財産を処分する権利を持っているので、その人に遺言執行業務として死後の事務を一括して発注し、履行してもらうようにしています。
葬儀については、基本的に誰が執り行ってもいい。私は遺言で決めていますが、厳密には遺言とは関係ないものです。本人がやってほしい人に生前に頼んでおけばいいわけです。親族でも友人でもいい。しかし、いくら信頼していた友人とはいえ、実際に死んだ後、「やっぱりやりたくない」と言われてしまう可能性もなくはないので、専門の業者に頼んでおく方が安心です。
遺言がない場合については、後ほど触れます。
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