飲酒が原因で死亡するロシア兵が増加中 他の軍隊には理解不能な兵士と指揮官たちの心理状態
大義なき戦争
飲酒を巡っては、2022年11月にウラジーミル・プーチン大統領(70)の失言が大きく報道されたこともあった。
ロシアで11月27日は「母の日」とされ、プーチン大統領は25日にウクライナ戦争に従軍する息子を持つ母親17人と懇談会を開いた。ところが、母親たちとの質疑応答で、プーチン大統領は軍人の戦死を「仕方ないこと」と口にしてしまったのだ(註)。
《わが国では約3万人の人々が交通事故で死亡し、ほぼ同じ数の人々がお酒で死亡する。重要なのは、私たち皆が死ぬということ》
プーチン大統領の言う通り、約3万人が酒で死亡する国家だからこそ、軍隊でも酒が蔓延してしまうのだ。自分の失言に“真理”が潜んでいたことに、彼は気づいただろうか。
「なぜ世界各国の兵士が禁酒や禁煙のルールを守るかといえば、戦場で生き残って無事に帰国したいからです。ところがロシアの兵士は、まるで死に急ぐかのように戦場で大量に酒を呑んでいるため、酩酊を原因とする戦死者は増える一方です。その根本的な原因は、ウクライナ侵略に大義が存在しないことかもしれません。戦場に送られた兵士は絶望し、夢も希望も抱けないはずです。不安や恐怖を酒で紛らわそうとしているのでしょう」(同・軍事ジャーナリスト)
註:プーチン大統領の失言…ロシア軍兵士の母親に「わが国は年間3万人、交通事故とお酒で死ぬ」(中央日報日本語版:2022年11月29日)
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