テレビはオワコンと呼ばれても…Z世代に「オーディション番組」が大人気のワケ
デビュー前から“推し”
「かつてはプロが選んだ出場者がデビューするだけでした。視聴者が知るのはデビュー後で、ファンはそこから応援しました。現在はオーディションドキュメンタリーと言える内容で、選ばれた素人出場者が合宿してトレーニングを受ける中で振るい落とされることもある。しかもそれをスマホでも見ることができる。視聴者は同世代の参加者が大勢出場する中で、自分の“推し”を見つけて応援していくわけです。出場者が成長する過程を共感しながら応援していくので、デビュー前からファンを抱えているからロケットスタートができる。イベント興行や新曲配信などでもインパクトのある実績を残せることは、レコード会社にとっても魅力的なコンテンツになっています」
「Nizi Project」以降、オーディション番組がZ世代を中心に大人気だ。
「日本人ラッパーのSKY-HI(日高光啓)が自腹で1億円以上を投じて仕掛けたボーイズグループオーディション『THE FIRST』からは、7人組ダンス&ボーカルグループのBE:FIRSTが誕生しました。また西川貴教がホストを務めた『Who is Princess?』からは、5人組ガールズグループのPRIKILがメジャーデビューしました」
これらもHuluが配信し、日テレが放送した。
「地上波と配信の両方を駆使して、世の中にコンテンツを流すというスタイルで認知度をさらに高めたわけです」
現在、「Nizi Project」はSeason 2として、ボーイズグループのオーディションを開催中だ。YOSHIKIと日テレがタッグを組んだ「YOSHIKI SUPERSTAR PROJECT X」も進行中だ。また、ロックバンド・女王蜂のアヴちゃんによる「0年0組―アヴちゃんの教室―」なども配信されている。いずれもHuluと日テレの組み合わせだ。
もちろん他局も手をこまねいてはいない。テレビ東京は英国ITVがフォーマット展開し世界73カ国でローカライズされている「The Voice Japan」をスタートすると発表した。初回放送は4月9日。こちらもインターネット配信される。
「日テレとHuluは、さすがに飽和状態になりつつあると、次の一手として新たなプロジェクトを始動させました」
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