【どうする家康】歴史上の足利義昭は古田新太のようなバカ殿ではない…信長との“本当の関係”は?
松本潤演じる徳川家康がはじめて上洛して二条御所におもむき、織田信長の後ろ盾で将軍になった古田新太扮する足利義昭も謁見するも……。どうやら二日酔いらしき義昭は千鳥足で、ゲップをしながら「国々といさかいが起こったときは幕府に申し立て……」などと話しながら居眠りしてしまい、いびきまでかく。
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そして、大森南朋が演じる酒井忠次が馬を献上したいと申し出ると、ケモノ臭いからと断って、家康が妻や子供たちのために入手した、希少な南蛮菓子のコンフェイト(金平糖)を所望。家康がしぶしぶ献上すると、その場でガリガリと食べてしまう。
NHK大河ドラマ「どうする家康」の第13話「家康、都へゆく」。室町幕府最後の将軍である義昭がはじめて登場したが、バカ殿を絵に描いたような暗愚な人物として描かれていた。
たしかにインパクトがあって、愚鈍な殿様になりきった古田を「快演」と讃えるメディアは多い。ネット上にもそのクセの強さをむしろ讃える声が目立つようだが、はたして足利義昭をこんなふうに描いていいものだろうか。
バカ殿ではなかった
次の第14話では、義昭をこうして暗愚に描く理由も明らかになる。信長のねらいは足利将軍を傀儡にして天下をわがものにすることなので、神輿は軽いほうがいいのだと、ある人物に語らせるようだ。
むろん、足利義昭がバカ殿であった可能性が高いなら、こう描くことになんら差し障りはない。また、信長が義昭を傀儡にしようと考えていたのであれば、神輿の軽さを強調することは、ドラマの味つけの範囲内だろう。
しかし、ドラマをおもしろく展開することを優先して、史実や最新の研究成果に目をつぶるなら、もはや歴史ドラマとはいえない。
いうまでもなく、歴史ドラマもドラマである以上、フィクションだが、多くの視聴者は史実を土台にさまざまな場面が再現されていると思っている。史実を無視した歴史ドラマはファンタジーにすぎず、そこに歴史が再現されていると信じる読者を、誤解へと導くことにしかならない。
結論を先にいえば、史実を検証するかぎり、足利義昭が暗愚な将軍であったとは考えられない。また、義昭が信長の傀儡だったという見方も、いまでは否定されているのである。
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