“奇跡のフォント”で小学生の正答率に差 開発者が語る「UDデジタル教科書体」の驚くべき効果とは

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電子黒板やタブレット端末にも適した書体

 教員への聞き取りや実証実験の結果を踏まえ、2009年9月に「TBUDフォントシリーズ」をリリースした。

「子どもたちにも協力してもらい、客観的なデータを集めて作った読みやすい書体です。全国の視覚支援学校で行った中野先生の調査では、従来使われていた教科書体などと比べて、『TBUDゴシック』と『TBUD丸ゴシック』の方がより多くの生徒にとって読みやすいという評価も得られました」

 高田さんは、さらに教育現場で使いやすく、学習指導要領に準拠した「UDデジタル教科書体」の 開発に乗り出した。タブレット端末や電子黒板を用いたICT(Information and Communication Technology)教育の普及に加え、2016年に障害者差別解消法が施行され、学校現場でも障害のある子どもに合わせた環境整備が求められるようになったことも後押しになった。

「既存の教科書体は、線が細いので、電子黒板で表示したものを離れたところから見ると霞んで見えることがあります。タブレット端末で見ると、画面の光で白く飛んでしまい、読みづらいという弱点もありました。ICT教育が普及する中で、書き方の方向や点、はらいの形を表現し、書き方の学習にも適した上で、線の太さの強弱を抑えて読みやすいという特徴を兼ねた『UDデジタル教科書体』が必要だったのです」

 発達障害によって感覚過敏の特性を持つ子どもの中には、書体のデザインによってストレスを感じることもあるそうだ。

「視覚過敏の特性を持つ子どもの中には、先端が鋭くとがった明朝体の『はね』や『はらい』が自分に刺さってくるように感じ、恐怖やストレスを感じる場合があるそうです。他にも、例えば『山』の一画目の始まりの部分が、筆をぐっと押し付けた形状になっていることが気になって文字が読めなかったり、この部分を一画とみなしてしまうこともあるそうです。明朝体で書かれた文章を長時間読むと、集中力が続かなかったり、イライラする子どももいると聞きました。『UDデジタル教科書体』は、子どもたちがノイズに感じる部分がなく、先端が丸みを帯びた形状になっているので、そういった子どもたちのストレスも少ないのです」

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