医学部受験のカリスマ「和田秀樹」が“塾代返還裁判”で敗訴 「実力に合わない大学だけを受けて返金は納得できない」

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最難関級ばかり受験

 しかし入試を控えた高3秋の面談の場で生徒側から示された受験校は、東大理III、慶應大医学部、順天堂大医学部、慈恵医大の4校。最難関級ばかりだった。

「彼は春の模試時点では、順大医学部がB判定と上々でしたが、その後伸び悩んでしまった。この4校のみを受けて他は受けないというのは常識的にありえない。なので、彼の実力に合った大学を受験するようその場で勧めたのです」(同)

 しかし、生徒の家族は断固拒否。結局4校だけを受験して、すべて不合格になったという。その後、医学部に入れなかったとして生徒側が授業料返金を求めたが、和田氏側と折り合いがつかず民事訴訟を提起。3月13日、東京地裁は被告・和田塾に756万円の支払いを命じ、和田氏側の敗訴となっている。地裁は、入塾案内に“学力に応じた大学を受験した場合のみ合格を保証する”などの注釈を記さなかったことを被告の落ち度とした。保険の約款のごとき“制限条件”があればセーフだったとの判断となった。

「実力に合わない大学だけを受験して返金というのは…」

 和田氏が判決に憤る。

「実力に合った大学を受けて落ちたなら当然返金しますよ。実際に過去そうした例で返金を行っています。しかし、どこかの医学部に受かる力はあったのに実力に合わない大学だけを受験して、それで落ちたら返金というのはさすがに納得がいきません。面談でも“この受験校でいくなら返金は厳しい”と伝えたのですが、“落ちた時のことは考えたくない”と話に応じてくれませんでした」(同)

 和田氏側は控訴する予定で、常識に照らせばさもありなん。一方、生徒の父親は判決が全てと前置きして、

「裁判官の判断は妥当だと思っていますよ。けれども既に息子は別の大学の医学部に入っているし、お金が欲しいわけでもない。裁判で和田氏の教育者としてのあり方を問いたい」

 元裁判官で弁護士の井上薫氏に見解を聞くと、「法律的には一部返金もやむを得ない」としつつ、

「常識的には6年間勉強をさせてもらって最後は返金とは行き過ぎではないか」

 桜の季節に散る火花。

週刊新潮 2023年4月6日号掲載

ワイド特集「晴天の霹靂」より

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