「10円を惜しむ生活」「夕飯はコンビニの蕎麦」 87歳で死去“ムツゴロウさん” が語っていた「壮絶借金人生」
象に鼻で持ち上げられて
そうこぼしながら畑氏が記者に見せたのは、430円のコンビニの蕎麦だった。
「東京進出の時は、運営会社に騙されっぱなし。“商品にするからイラストを描いてください。売上の半分を渡す”と言われ、100枚描いて渡したけど、支払いがなく、聞いたら、別の支払いに使ってしまった、と。万事がこの調子で。実は僕、テレビを辞めたら、文学に専念するつもりだった。文章に命を賭けようと。でも忙しくてできない」
おまけに、
「身体にもガタがきていてね、胃は(切除して)全部ないし、肩は、象に鼻で持ち上げられて脱臼したし……」
その一方で、この年の9月に、「日本動物学会動物学教育賞」を受賞した。
「これは嬉しかった。私は在野で、しかも独学。学問の世界では通用しないんじゃないかという思いがあった。生きていて良かったと思いました。最近はようやく仕事も上がり調子。今は女房と“結婚したころは落ちたものを拾って食っていたじゃないか”“元気なうちは歩けるところまで歩こう”と話しています」
波瀾万丈な人生を、歩ききったムツゴロウさん。ご冥福をお祈りいたします――。