トラ党歓喜「高卒野手は育たない」定説を覆す「ドラ3」ルーキー 岡田監督も「ええ体しとるな」

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「おぉ、ええ体しとるなぁ~」

「近く、一軍昇格」の情報もある井坪は、夏の甲子園など全国大会を経験していない。そのため、ドラフト当時は「ノーマーク」に近かったが、スカウトの間では「西のトップは高松商の浅野、東は関東一校の井坪」で注目されていたそうだ。

「足も速いし、肩も強い。投手をやらせたら、140キロ台後半は出ていました。中学時代、リトルシニアで活躍し、U-15の代表メンバーに選ばれ、そこで『世界』を経験しています。その時点からスカウトは追い掛けていました」(在京球団スカウト)

 井坪には器用な一面もある。前出の在京球団スカウトによれば、左足を開くようにして構えていた時期もあれば、その反対に右足を後ろに引いた構え方もしていたそうだ。

「打ち方を変えた理由は、フィーリングだそうです。構え方はともかく、変わらなかったのがスイングスピードの速さと飛距離。しかも、どの方向にもホームランが打てて、フルスイングをしているわりには、バットにボールを当てるコンタクト率も高かった」(学生野球担当記者)

 ということは、かなり動体視力も良いのだろう。

 2ヶ月弱でプロ投手のスピードに適応できたことで、「右打ちのイチロー」とも言われ始めたが、本当の武器は、“強気な姿勢”にあるという。

「阪神に指名を受けた直後、ドラフト取材の恒例で目標を色紙に書いてもらいました。井坪は『開幕一軍 新人王』と記し、1年目から勝負するつもりでいました」(前出・同)

 また、新人入団会見でのこと。こちらも“恒例の光景”だが、監督を中心に指名選手全員が並んでの記念撮影が行われた。その撮影終了後、整列がばらけるのと同時に、岡田監督は、

「おぉ、ええ体しとるなあ~」

 と、井坪を呼び止めた。井坪は恐縮し、ただ笑みを返すことしかできなかったが、岡田監督もこの新人に感じるものがあったのではないだろうか。

「指名後、ウエイトトレーニングに時間を割いていました。公表では177センチ、86kgですが、体重はもっとありそう。腕、太ももはムキムキ」(チーム関係者)

 連勝スタートを切ったものの、阪神に弱点がないわけではない。レフトを守る新外国人選手のシェルドン・ノイジー(28)は「広角に打てる」と言われていたが、岡田監督はオープン戦最後の3月26日、取材でグラウンドに下りてきたOBの藤田平氏(75)に、

「日本のストライクゾーンに悩んでいる」

 と、こぼしていた。その言葉の通りなら、井坪が取って代わる可能性も高い。

「阪神が長く優勝から遠ざかってしまった原因のひとつとして、岡田監督は高卒野手がレギュラーを掴んでいないことを挙げていました。育成がうまくいっていないんです。ショートのレギュラーで高卒5年目の小幡竜平(22)を使っているのは育成を加速させるためで、井坪の昇格も時間の問題です」(前出・ベテラン記者)

 浅野の抽選に当たっていたら、タイプの重なる井坪の指名はなかっただろう。

 岡田監督の目指す「アレ」を加速するため、井坪が“第2ロケット”になるかどうか。

デイリー新潮編集部

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