トラ党歓喜「高卒野手は育たない」定説を覆す「ドラ3」ルーキー 岡田監督も「ええ体しとるな」

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「ドラフト負けましたけど、よかったです」

 開幕9連敗となった昨季とは異なり、ホーム開幕カードでは8年ぶりとなる3連勝と幸先の良いスタートを切った阪神。3連勝となる4月2日の試合後(対DeNA)、岡田彰布監督(65)は同点2ランを放った原口文仁(31)を、カウントの途中から代打投入した“トリッキーな采配”について聞かれると、

「速いストレートを捉えられるのは原口かなあと思っていたんで。まあ、予定通りだったかなぁ」

 と、ご満悦な表情で返してきた。

 聞きたかったのは、カウント途中で代打を投入したこと。原口を代打に選んだ理由ではないのだが……。そんな独特の言い回しをする岡田監督が、開幕直前に意味深なコメントを発していた。

「ドラフト負けましたけど、良かったです。ハッキリ言って」

 これは、テレビ局の企画で実現したセ・リーグ監督座談会で出たもの(3月26日)。負けた、というのは秋のドラフト会議で高松商・浅野翔吾(18)の入札でライバル巨人と競合し、抽選で外れたことを指す。

 学生時代から知る原辰徳監督が相手だから言えたジョークであり、再入札で指名した森下翔太(22)がオープン戦から活躍しているのも大きかった。

「森下を売り出そうとしての発言だと思ったんですが、それだけではなかったようですね」(ベテラン記者)

 阪神は同じドラフト会議で、浅野と同じ右投げ右打ちの高校生外野手を3位指名している。その人、関東第一・井坪陽生(18)の評判がすこぶ る高いのだという。3連勝を飾った4月6日時点で、井坪のファーム打率成績はウエスタン・リーグトップの4割2分9厘 。ホームランは2本だが、長打率7割5分だから、対戦投手に脅威を与えていることも分かる。

「高卒選手は金属バットから木製に変わり、プロ投手のスピードも相まって、打撃成績では期待が持てません。2月のキャンプインから2ヶ月弱でここまで対応できるなんて、並の新人ではありません」(他チームのファームスタッフ)

 高卒選手は体力面で大学や社会人野球を経由してきた年長選手にかなわない。入団1目の春季キャンプでは朝から晩まで練習、それもほぼ毎日だ。たいていの高卒選手はキャンプ中盤に脱落してしまうが、井坪は「居残り特打」にも自ら志願し、バットを振り続けてきた。無尽蔵なスタミナも急成長につながったようだ。

「プロ野球はオトナの集団でもあります。練習についてこれなければ、置いていかれるだけ。『高卒だから』『まだ新人だから』で大目に見てもらえますが、それに甘え、ファーム生活から抜け出せず、“二軍ズレ”してしまった選手も残念ながら少なくありません。それに阪神は人気球団だからファンの期待も高く、まだ精神的に未熟な高校卒選手はそれに潰されてしまうんです。阪神では高卒野手が育たない、というのはファンの間でも知れ渡っていることです」(前出・ベテラン記者)

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