キムタクと“新人刑事”、安定の福山&大泉、新世代トリオ…「春ドラ」見逃したくない3本

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

タイムリープ作品でしか描けない世界

 名作漫画を原作とするフジテレビ「ロング・ラブレター~漂流教室~」(2002年)などを彷彿させるフォーマットである。もっとも、タイムリープ作品でしか描けない世界があるので、全く問題ない。

 過去に類似点のあるフォーマットは認めないという向きもあるようだが、どうだろう。それを言い始めたら、劇作家・シェイクスピアは400年前の時点で、「物語は36パターンしかない」と定義付けている。

 物語のパターンは最初から数が限られており、どの作品も掘り下げると過去の作品に辿り着く。たまたま続いたが、タイムリープ作品がドラマのフォーマットとして優れ、さまざまなことを訴えられることは冬ドラマ「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ)が証明済みだ。

 山田が演じる直哉はマイペースで行動する。仕事柄、コミュニケーション能力は高いものの、どこか捉えどころがなく、何を考えているのか分からない。どうやら複雑な過去が関係しているらしい。

 上白石が扮する紗枝は元気で活力ある女性だが、それが空回りしてしまうこともある。やさしい性格であるものの、サバイバルの中では決断力があるところも見せる。

 赤楚が演じる優斗は熱血漢。極限下のサバイバル中もリーダーシップを発揮し、動揺する乗客たちをまとめ、1人でも多くの命を助けようとする。マイペースな直哉とは正反対で、2人は衝突する。

 井之脇による院生・祥大は気難しい性格だが、サバイバルで人々と生活を共にすることで、変化が起きていく。古川が演じる玲奈は徹底的な個人主義で、サバイバル中も自分本位なわがままで和を乱す。

 杉本による田中は冴えない男だったが、サバイバルでは乗客たちを仕切ろうとし、大きな混乱を巻き起こす。松雪による寺崎は、SNSで偽りのリア充生活を装っていた女性だった。

 乗客たちは生き残り、現代に帰還できるのか。なにより、人は極限状態に陥ると成長するのか、醜くなるのか。人間ドラマとして期待できる。

次ページ:TBS「日曜劇場 ラストマン-全盲の捜査官-」

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[4/5ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。