映画「ある男」 撮影現場で安藤さくらが印象的だった…妻夫木聡ら男優陣は「監督のために頑張るぞ」という中、彼女は?
「監督のために頑張るぞ」と男優陣は燃えたが、女優の安藤サクラ(37)は違った──。映画「ある男」[石川慶監督(45)・松竹]の撮影現場に詳しいスタッフは、こう証言する。
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長編小説の『ある男』は、芥川賞作家・平野啓一郎(47)が執筆し、2018年に文藝春秋から刊行、22年に映画化された。担当記者が言う。
「事故で谷口大祐という男性が死亡するのですが、その兄によって大祐は偽者だと判明するというのがストーリーの発端です。映画は大祐の妻を安藤さんが、弁護士役を妻夫木聡さん(42)が演じました。評価は極めて高く、第46回日本アカデミー賞では最優秀賞8冠に輝きました。内訳は作品賞、脚本賞、録音賞、編集賞、そして妻夫木さんが主演男優賞、安藤さんが主演女優賞、窪田正孝さん(34)が助演男優賞でした」
監督の石川慶氏は、東北大学物理学科を卒業するとポーランドの国立ウッチ映画大学に進んだ。
アンジェイ・ワイダ(1926~2016)、ロマン・ポランスキー(89)、クシシュトフ・キェシロフスキ(1941~1996)など、多くの優れた映画監督を生み出した名門大学だ。
撮影現場をよく知るスタッフは、「石川監督とどう仕事を進めていくか、そのアプローチが、妻夫木さんと窪田さんといった男優組と安藤さんとでは非常に対照的で、それが強く印象に残りました」と振り返る。
「石川監督の演出スタイルは、役者さんに具体的な指示をしません。それがポーランド流なのかは分かりませんが、『こう演じてほしい』とは言わず、声をかけるときは非常に抽象的な表現を使います。妻夫木さんや窪田さんは、明らかに監督のアプローチに刺激を受けていました。監督の抽象的な指示を基に考え抜いた演技を披露することに燃えたわけです。『監督のため、俺たちは自分の演技を見せる』と意欲を見せていました」
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