「30年ぶりに症状がなくなった」 花粉症対策「最終兵器」の商品名は? 研究論文が効果を証明

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医学的なデータも

「この3種のステロイド成分の効き目には大きな差はないと考えています。それよりも大事なのは、抗ヒスタミンの飲み薬よりもステロイド点鼻薬の方が効くことがさまざまな研究によって裏付けられていることです」

 そう語るのは、『その病気、市販薬で治せます』(新潮新書)の著者で薬剤師の久里建人氏だ。

「例えば、3種のステロイド成分のうち『フルチカゾン』の点鼻薬と、セチリジンという成分を含む飲み薬を比較した1997年の論文があります。237名を二つのグループに分けてそれぞれの薬を投与し、総合的な鼻の症状の改善度を比較したところ、『フルチカゾン』の方が改善度が高く、無症状で済んだ日数も多かったことが報告されています」

 無論、一つの論文だけで効果が証明されたというのは無理があるが、

「医学、薬学の世界ではこうした実験を行った論文を集めて統計学的な処理をして再評価する論文があります。そうした論文でも、抗ヒスタミンの飲み薬よりステロイド点鼻薬の方が効果が高いと評価されています。医学の知見は年月を経て変わることもあるのですが、この知見はここ二十数年変わっていないので堅牢なものだといえます」(同)

「広まっていない理由」

 飲み薬同様、ステロイド点鼻薬も初期から使うことでピーク時の症状を和らげることが分かっている。

「ただし、症状がすでに出ている人が今からステロイド点鼻薬を使っても遅くはなく、それで症状が改善する人も多いはずです。もし今から使ってダメでも、来年は症状が出始めたところで試してみて下さい。今年よりも快適に過ごせる可能性は高いと思います」(同)

 花粉症に詳しい日本医科大学大学院医学研究科教授の大久保公裕氏も言う。

「ステロイド点鼻薬が日本であまり広まっていない理由としては、まず日本人が薬=飲み薬と考えていることが挙げられるでしょう。また、ステロイド点鼻薬は継続して使用することで効果が得られるのですが、1、2回試して効かないからとやめてしまう人がいます。使用する際は継続して使うようにして下さい」

“最終兵器”を使うことにより、どれくらいの人が「戦い」を終結に導けるか。

週刊新潮 2023年4月6日号掲載

特集「発症前の自分に戻った!? 『鼻粘膜焼き』でも『舌下免疫療法』でもない 今すぐ買える花粉症『最終兵器』の商品名」より

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