巨人・坂本勇人は6番で起用する選手ではない【柴田勲のセブンアイズ】
期待の新外国人投手
大谷翔平で始まり、大谷翔平で終わったWBCの熱狂が残る中で2023年のプロ野球が開幕した。巨人は東京ドームに中日を迎えた開幕カードを2勝1敗と勝ち越した。
【秘蔵写真】「リーグ5連覇」「全球団勝ち越し」……いまだ破られない偉業も…… プロ野球監督別「優勝回数ランキングベスト10」
2日の3戦目、1点リードの9回に抑えの大勢がコールされた時は「エッ」と思った。開幕初戦で同じ局面があったが、この時は出てこなかった。
右手人さし指のマメの影響で開幕2試合を回避したという。それでも3戦目の投球は安定感のある投球で初セーブを挙げた。開幕2戦を回避したのなら、普通は3戦目も無理だと思うのだが。
特に開幕戦は中田翔の逆転三塁打が飛び出した直後で、接戦をモノにしたいところだった。この試合はリリーフ陣が4失点した。3戦目の投球を見るにつけ登板回避はちょっと不可解だった。
巨人の新外国人投手二人は思った以上に使えそうだ。開幕投手のタイラー・ビーディは6回を10安打されたが2失点でまとめた。2戦目の左腕フォスター・グリフィンは7回を無失点だった。
2人とも制球力がある。四球で崩れるタイプではないとみた。実際、ビーディは四死球0、グリフィンは1個だった。変化球も悪くない。球威があるし、完投能力も持っていると思う。
菅野智之が離脱してビーディに開幕投手のお鉢が回ってきたが、元々それだけの実力があるということだ。次回の先発では勝てるのではないか。
坂本の6番起用に疑問
3戦目の赤星優志は低め中心で丁寧に投げていた。ストライクが先行し、テンポもよかったが、少し怖かった。時々、甘いボールがあった。でもプロ最長タイの7回を84球、5安打1失点で切り抜けた。先発の役割は充分果たした。2年目、期待できそうだ。
戸郷翔征も控えている。あとは菅野がいつ戻ってくるかだ。昨年もそうだったが、中継ぎ陣が大勢につなぐまでの7、8回をどうしのいでいくかだろう。どこのチームも同じで、中日だってライデル・マルティネスまでどうやって継投していくか、課題になっている。
打線だが、前回の今コラムでも強調したように、1番・吉川尚輝、2番・坂本勇人、3番・丸佳浩、4番・岡本和真、そして5番・中田翔の5人で1年間固定すべきだと思う。1、2番は入れ替えてもいい。
オープン戦で調子が良かったオコエ瑠偉を開幕戦で1番に起用したが、翌日からは梶谷隆幸を1番で起用した。オコエが左の小笠原慎之介の前に無安打で終わり、中日が涌井秀章、福谷浩司と右が続くこともあったからだろう。
でも何度でも言うように1番～5番を固定して6、7番は流動的に起用する方がいいのではないか。7番・オコエならOKだ。オープン戦であれだけ使った選手だ。1試合を見てダメはおかしい。外国人選手や調子がいいと判断した選手を起用すれば相手も嫌がる。
坂本の6番は全く分からない。選手には格がある。坂本は特Aクラスだ。いまは打撃面で不調に陥っているが、シーズンを通せば必ず活躍する。2割7、8分は打つ。原辰徳監督が負担を軽くしてやりたい、こう考えているのなら勘違いだ。坂本は昨年までの主将でチームプレーをよく理解している。送りバントや吉川尚との連携でエンドランを仕掛けられる。脚力があり盗塁だってできる。
昨年、故障に泣かされただけに今季には期するものがあるはずだ。34歳、まだまだ老け込む歳ではない。
[1/2ページ]
