「花粉症」による経済損失“3800億円”の衝撃 「特別手当」支給の企業も増加で「新たな国民病」は撲滅できるか
「花粉症手当」の気になる中身
他にも明確な数値化は難しいが、花粉症によって企業の生産性が低下するとの指摘は以前からあった。そんななか、「花粉症手当」を支給する会社も近年増えており、企業向け健康管理システムなどを開発する「ラフール」もその一つだ。
「社員が花粉症で医療機関を受診した際の診療費や薬代を全額補助する制度で、1回の支給上限額は約5000円となっています。診察時の領収書を提出すれば翌月の給与と一緒に支給する仕組みで、症状を放置して社員の仕事の能率が落ちるのを防ぐために18年から導入しました」(同社広報部)
そもそも同社社長が花粉症だったことから制度化の話が持ち上がったといい、現在、社員の半数にあたる約40人が利用しているという。また運送会社でも花粉症の放置が重大事故へと繋がるリスクを低減させるため、点鼻薬などをドライバーに支給しているところもある。
「本来は“花粉の少ない苗木を植える”のと“花粉を大量発生させている杉などの伐採”は両輪で行われるべきものです。日本は先進国のなかでも国土に占める森林面積が高い一方で、林業は衰退傾向にある。花粉症対策を機に林業の活性化につなげる“逆転の発想”こそ、いま政治に求められているのではないでしょうか」(永濱氏)