銀座・煉瓦亭で尹錫悦大統領のために用意されたヱビスビール 背景に韓国のビールはかなり薄味という事情
3月16日夜、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と岸田文雄首相との夕食会が銀座で催された。2次会となった「煉瓦亭」では、最初に出されたのがヱビスビールだった。
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この日は、一軒目のすき焼き・しゃぶしゃぶ専門店「銀座吉澤」で尹大統領の金建希(キム・ゴンヒ)夫人や岸田首相の裕子夫人も交え、松坂牛のすき焼きに舌鼓を打った。そして、煉瓦亭では、尹大統領と岸田首相の2人が、ヱビスビールで乾杯、尹大統領は一気に飲み干したという。
政界関係者によると、
「実を言うと、尹大統領はヱビスビールが大好きだという情報を官邸は事前に掴んでいました。店側に急遽、用意させたのです。尹大統領は側近に『早く銀座でヱビスビールが飲みたい』と語っていたそうです」
味が薄くて苦みがない
「尹大統領がお酒好きだということは知っていましたが、ヱビスビールがお好きだとは存じ上げませんでした」
と解説するのは、ヱビスビールを製造・販売しているサッポロビールの広報担当者。
「ヱビスビールは、2007年から08年にかけて韓国でテスト販売を行い、2017年から本格的に販売が開始されました。20代後半から30代半ばの方に人気があります」
韓国では、ヱビスビール(500ml)は4700ウォン(約470円)で販売されている。他の日本のビールより1.9倍高い。韓国最大財閥のサムスンの李在鎔(イ・ジェヨン)会長もヱビスビール好きで知られているという。
「韓国のビールは味が薄く、苦みもなくてアルコールの度数も低い。泡もクリーミーではありません。そのため麦芽100%で苦味とコクがあって、本来のビールの味がするヱビスビールは韓国で人気があるのです」
と語るのは、韓国旅行情報専門サイト「KONEST」を運用するハンチャオ(本社ソウル)
の広報担当者。
韓国のビールの味が薄いのには理由があった。日本とは酒税法が違うからだ。日本は麦芽比率50%以上がビールで、それ以下は発泡酒として扱われる。一方、韓国では1999年、酒税法でビールの麦芽比率が66.7%以上から10%以上に改正された。麦芽比率を下げたのは、日本の発泡酒の人気が高かったためだという。
「元々韓国では、ビールはそんなに飲まれていません。居酒屋では、初めから焼酎やマッコリを飲みます。日本のように、最初にビールを注文して、乾杯みたいな習慣はありません。それがここ10年で、一気にビールの消費が増えてきました。日本を訪れる韓国人が増えて、日本のビールと角瓶のハイボールの味を覚えたのです」(同)
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