現代日本人に圧倒的に不足している栄養素とは? オススメの食品をハーバード大で栄養学を極めた医師が指南
納豆半パックの効果
不足しがちなこれら三つの栄養素などをどれだけ食事を中心に補えるかが、内なる老化を防ぐポイントになるわけです。それでは、具体的には何を食べればいいのでしょうか。どんな人でも食べたほうがいい食事――「絶対食」として、私は例えば以下のものを推奨しています。
まずは、日本が誇るスーパーフードである納豆です。
マグネシウム、亜鉛、いずれも豊富な上に、骨を頑丈にしてくれるビタミンKも含まれています。2020年に国立がん研究センターのチームが発表した論文によると、毎日25グラム(半パック程度)の納豆を食べたグループと全く食べないグループを比べたところ、前者の循環器疾患による死亡リスクは約2割低かったという結果が出ています。
次に緑の濃い野菜。
ホウレンソウ、春菊、ブロッコリー、ケール、小松菜……。これらの野菜にはマグネシウムが豊富に含まれています。ホウレンソウを食べて元気モリモリのポパイという描写は、栄養学的にも間違っていないのです。
また、青魚も絶対食としてお勧めです。
イワシ、アジ、サバなどの小ぶりな青魚にはビタミンDが豊富なのに加え、炎症抑制効果のあるEPA(エイコサペンタエン酸)も多く含まれています。なおEPAは酸化しやすいので、青魚を生の刺身で食べるのが理想です。
サケの切り身と干しシイタケ
青魚以外ではサケにもビタミンDが豊富なので良いでしょう。生のシイタケを干すことによって、ビタミンDの含有量が30倍になることから、最近、干しシイタケが健康食として推奨されています。しかし、ビタミンD補充の観点から考えると、サケの切り身100グラムに含まれているビタミンDの量を、干しシイタケ(1個5グラム)で取ろうとすると50個も食べなければなりません。サケの切り身100グラムを1日1回食べるのは難しくありませんが、干しシイタケを1日50個食べるのは現実的に無理です。いかにビタミンD摂取において、サケが優れているかが分かります。
亜鉛を摂取するには、何といっても牡蠣(かき)を食べるのが有効ですが、大ぶりの牡蠣を1日5個食べないと充分量は取れず、やはりこれも難しい。豚レバーや卵黄などをバランス良く食べることで亜鉛不足は解消できます。
他にも、男性ホルモン、女性ホルモンの双方を作り出す「マザーホルモン」、あるいは「若返りホルモン」とも呼ばれ、精力アップにつながるDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)が豊富な自然薯(じねんじょ)や、腸内環境を整える発酵食品なども絶対食として挙げられます。そして、こうした食事内容に加え、「食べ方」も内なる老化を防ぐためには大切です。
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