坂本勇人に「限界説」…中田翔との“時間差トレード”の現実味 巨人と日ハムに「持ちつ持たれつ」の過去

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重大局面は交流戦後

 昨季途中、原監督は坂本の守備の負担を和らげようと、遊撃から一塁へのコンバートを打診したものの遊撃へのこだわりを理由に坂本は固辞した。現状で巨人の一~三塁は中田翔、吉川尚輝、そして岡本和真と不動。坂本は他ポジションで活路を開くこともままならず、不振が続けばベンチ要員、そして門脇ら代役に取って代わられれば2軍降格が現実味を帯びる。

 さるセ・リーグ球団の編成担当はその先の事態にも言及する。

「他球団へのトレードもないとは言えない。去年のあの一件以来、いつそうなってもおかくしないとみている」

 通算2000安打を放ち、チームの幾多の優勝に貢献してきた功労者であることを踏まえると、トレードの実現性は高くはない。しかし、昨夏、20代女性への妊娠・中絶強要の醜聞が発覚した「あの一件」で、巨人が大ナタを振るう可能性は排除できなくなっていることも確かだ。

 トレードとなれば同一リーグ間はまずなく、同編成担当によると、パ・リーグでは日本ハムが真っ先に候補に挙がるという。

「ハムは二遊間に絶対的な選手がいない。パはDHがあり、腰などに複数の故障を抱える坂本が守備を休みながら出られる。天然芝の新球場も体の負担軽減の意味ではプラス要素。ハムと巨人の対戦がなくなる交流戦後は要警戒ではないか」

二岡は不倫で“懲罰”トレード

 過去に遡っても後楽園、東京ドームと本拠地が同じで、同一リーグではないということで、巨人と日本ハムは活発にトレードを行ってきた。近年では一昨年途中に暴力問題で無期限出場停止処分を受けていた中田の無償トレードで球界にインパクトを与えた。

「原監督と栗山監督(当時)の太いパイプで実現したトレードで、打線強化したかった巨人と、問題児の処遇を持てあましてきたハムの意図が合致した。中田の問題のケジメをうやむやにしたままで、批判が多かったが、両チームの持ちつ持たれつ関係はこの時に始まったことではない」

 その象徴的な例として、2軍降格中の女性アナウンサーとの不倫醜聞が、08年7月に発覚した巨人の二岡智宏(現巨人2軍監督)の同年オフの日本ハムへのトレードが挙げられる。

「二岡が長く守った遊撃にちょうど坂本の台頭があったが、選手会長の放出だっただけに、スキャンダルの影響が大きかった。今回、巨人が坂本の処遇に困ったところに、ハムが救いの手を差し伸べたとしても驚きはない。去年のスキャンダルからは時間がたっており、新天地での再生を大義名分にすれば、懲罰的な印象は薄まる。両チームの間でいつ話が進展してもおかしくない」(前出のセ編成担当)

 日本ハムの稲葉篤紀ゼネラルマネジャー(GM)は坂本が金メダル獲得に貢献した東京五輪の監督だ。巨人で編成を含む全権を握る原監督とは09年のWBCで日本代表監督、代表選手として戦った仲でもある。トップ同士で意思疎通もしやすい。

「ハムでは新庄監督が今季も低迷すれば退任し、稲葉GMの監督就任は既定路線。トレードは今夏までに実現しなかったとしても来季以降、火種は燻るのではないか」(同前)

 坂本が復活の軌道に乗るまではグラウンド外の不穏な動きから目が離せなさそうだ。

デイリー新潮編集部

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