【論点整理】放送法の解釈論争で立憲民主党の苦しい言い分 「高市早苗」捏造文書論争の論点3つを冷静に検討
とにかく解釈は変えていないという主張
やり取りを思いっきりシンプルにまとめればこうなる。
「高市大臣は放送法の解釈を変えようとしている、あるいは変えたのではないか。一つの番組だけでも偏っていると判断できると言っている」
「解釈は変えていない。そんなことは言っていない。業務停止なんて簡単にできるものではない」
「政治家が何か言うと現場は萎縮するから気をつけてほしい」
「そんなことない。現に私はあちこちで叩かれている。でもとにかく解釈は変えていない」
この種の問答は、この時期国会で何度も繰り返されていた。同じ年の4月21日には、毎日新聞の記事をもとにした「放送法の解釈を変更したのではないか」という質問があり、高市大臣は次のように述べている。
「(毎日新聞の記事には)誤りがございます。『一つの番組だけを取り上げて停止命令を出す可能性がある事例として』と書いてありますけれども、一つの番組だけを取り上げて停止命令を出すということについて、その可能性も含めて、私はこれまでの国会審議で答弁をしておりません。
例えば電波法第七十六条ですとか放送法百七十四条、前者は無線局の運用停止命令、そして後者は業務停止命令ということになりますが、それらを適用する場合にどれだけ厳格な要件があり、そしてまた非常に極端なケース、何度も何度もそれが繰り返され、放送事業者の自主自律によってその行為をやめていただけないような、過去にも立憲民主党政権時代に平野副大臣が答弁をしてくださったような内容のものは今逐条解説集にも書かれておりますので、そのとおりの要件も私は繰り返し国会で答弁しております」
小西議員の見方
ここでも「一つの番組だけを理由に業務停止なんかできない。立憲民主党政権時代と解釈も変わっていない」というのが高市大臣の立場だったことになる。
今回の追及の急先鋒である小西議員らは、こうした高市大臣の主張を信用していない。
高市大臣が、実質的に「一つの番組」を口実に弾圧できるような解釈に変えたのだ、という認識のようだ。
小西議員によれば、高市氏の総務大臣時代の放送法解釈には重大な問題があり、それを最近になって彼自身が総務省から「全面撤回」の答弁を引き出したのだという(3月22日ツイッターでの発言)。
ちなみに小西氏はツイッターでの情報発信に積極的なことでも知られており、最近では、こんなことも述べている。
「(総務省の)元放送政策課のNHK担当補佐として、総務文書が明らかにした2014、15年の放送法の違法な解釈改変について調査報道を行い、高市大臣らの責任を追及しないNHKには受信料を徴収する法的資格がないと考える。
なぜなら、NHKの番組編集権の自主自律を守るためだけに徴収権が付与されているからだ」
NHKの報道に問題があるから「受信料を徴収する法的資格がない」というのである。
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