【37歳夫の告白】18歳年上の妻と出会ったのは小学4年生の頃、絵画教室を開いていた彼女が抱えていた”重大な問題”

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泣いていた保菜美先生

 高校生だった17歳のころ、適当に学校をサボって教室に行ってみると、先生がひとりで座っていた。謙佑さんが入ってくるのを見てあわてて顔をそらしたが、泣いているように見えた。

「先生、どうしたのと近づくと、彼女の目から一気に涙があふれた。それを見たらなんだかやるせなくて、どうしたらいいかわからなくて先生を思いきり抱きしめました。先生が泣き続けるので背中をさすって……」

 先生が離婚したと知ったのはその直後だった。母親が「あの先生、浮気していたらしいわよ」と言うのを聞いて、彼は内心、激怒した。先生はそんな人じゃない、おそらく浮気していたのはあのイケメン夫だと直感で思ったが、もちろん母にそんなことは言わなかった。

「大学に行くなら東京の有名な大学に入れと母はうるさかった。そうでないならここにいるな、出て行けって。みっともなくてしょうがないわと言われていましたね」

 絵画教室で将来についてぼーっと考えていると、先生が美大に行かないのと話しかけてきた。美大に行くほどの準備はしていないし、自分にとって絵は趣味の域を超えるものではないともわかっていた。

「私、実家に帰ろうと思っているのと、先生がある日、言ったんです。僕たちの距離はつかず離れずで、教室以外では会ったこともなかった。先生にとって僕はただの教室の生徒でしたから。でも先生と離れてしまうかもしれないと思った瞬間、僕の中で何かが弾けた。教室が終わって先生がひとりになったのを見計らって、『先生が実家に戻るなら、僕も連れて行ってください』と言ったんです」

 保菜美さんにとってはわけがわからなかっただろうと、今の彼は苦笑する。だが18歳の少年は真剣だった。この人と離れたら、自分が自分でいられなくなるような切羽詰まった感覚があったという。

大きな歳の差、地元で噂に

「高校を卒業するとそのまま実家に戻る彼女についていき、彼女の実家近くにアパートを借りました。家を出ると言ったら、母親が『大学に行った学費だと思って少し渡しておく』と200万くれたので、そのお金で生活を始めたんです。ただ、彼女の実家のあたりは小さな町だったので、見慣れない僕が彼女と歩いているだけで噂になったようです」

 保菜美さんはやはり絵画教室を開き、それなりに生徒も来たが、「先生と謙ちゃんは親子なの?」と子どもに聞かれるようになった。大人も習いに来ていたが、どことなく彼をうさんくさい目で見ているのもわかった。保菜美さんの親も「あの若いのは何なの?」と言うようになったらしい。しかも彼女は、別れた夫からも追われていた。

「夫の浮気で別れたのは本当のようです。だけど別れたあと、元夫はやはり離婚しなければよかったと思ったんでしょう。よりを戻そうと何度も言ってきたみたい。だから彼女は実家に戻った。それなのに今度は実家にまで追いかけてくるようになったんです」

 彼が20歳のとき、絵画教室の前で元夫と保菜美さんが揉めているのに出くわしたことがある。腹が立った彼は、元夫を力任せに殴りつけた。

「人を殴ったのは初めてでした。今でもあのときの感触が残っている。ぐしゃっと嫌な音がしました。鼻の骨が折れたみたいです。彼女は『ここを出よう。どこか知らないところへ行こう』と言いました」

 そして元夫を殴ったあと初めて、謙佑さんは保菜美さんと男女の関係になった。ふたりは泣きながらずっとひとつになっていた。手に手を取って、関東地方のある地域に落ち着いた。

後編【「あなたはまだ若い。やり直せる」離婚を切り出した18歳年上の妻、夫はその後も浮気を続け土下座させられ…ついに出た本音】へつづく

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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