全国で撤去が進む“巨大仏” 「珍寺」巡り35年の愛好家が語る「オウム真理教」と「バブル崩壊」が落とした影

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淡路島「世界平和大観音像」跡地の工事に遅れ

 なお、世界平和大観音像跡地は今年2月までに更地にして工事を完了する予定だったが、期限を延長。工事を発注している財務省近畿財務局に3月末に問い合わせたところ、「観音像と台座、そして地下にあった構造物の撤去を終え、現在、地下部分の穴を埋め戻しています」という。当初の予定通りに行かなかったのは「当時の図面がないなど複合的な理由」だといい、「5月末までには完了する予定です」という。

 巨大仏で今も健在なのは、東京湾観音(1961年、56メートル、宗教法人東京湾観音教会)や茨城県の牛久大仏(1993年、120メートル、浄土真宗 東本願寺派 本山 東本願寺)のように、宗教法人の所有であり、固定資産税や参拝料が非課税になっているところが多い。そしてどちらもしっかりメンテナンスがされている。

 小嶋氏は「巨大仏はネガティブなイメージになってしまいましたし、建立後の問題点が浮き彫りになりました。たとえ景気が良くなっても、建築許可は簡単に出なくなり、造られなくなるでしょうね。既存のものに関しては、昭和~バブル期までの上り坂を爆走していた日本を象徴するものとして、存続可能な大仏はなるべく長くその姿を保持し続けて欲しいものです」と提案していた。

華川富士也(かがわ・ふじや)
ライター、構成作家、フォトグラファー。1970年生まれ。長く勤めた新聞社を退社し1年間子育てに専念。2022年からフリーで活動。アイドル、洋楽、邦楽、建築、旅、町ネタ、昭和ネタなどを得意とする。過去にはシリーズ累計200万部以上売れた大ヒット書籍に立ち上げから関わりライターも務めた。

デイリー新潮編集部

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