全国で撤去が進む“巨大仏” 「珍寺」巡り35年の愛好家が語る「オウム真理教」と「バブル崩壊」が落とした影
バブル後の大仏&巨大仏事情
平成に入りバブルが崩壊すると、巨大仏は造られなくなり、大仏の建立もグッと減った。
「バブル崩壊でお金が無くなったのと、バブルに懲りて、大金を投じて巨大仏のようなものを造ることに日本人が抵抗を感じるようになりました。オウム真理教の事件(1995年/平成7年)以降、宗教に対する警戒心が強まったのもあると思います」
バブル崩壊後の平成時代に造られた大仏は高さ10メートル以下のものが多く、10メートルを超えるものは数えるほどしかない。
「平成以降の大仏は、成型の技術が上がってすごく綺麗なのが特徴です。新しいところで言うと、2018年(平成30年)に造られた東京都西多摩郡の鹿野大仏(12メートル)があります。2002年に建立された宮城県の愛子(あやし)大仏(16メートル)なんかとてもいい大仏ですし、愛子様と同じ漢字なのに、あまり話題にならないのが不思議です。大仏への関心が薄れているんですかね」
そして、令和の今、大仏・巨大仏の立場はどうなっているかというと……。
「強い逆風が吹いていますね。あまり新造されない上に、既存の巨大仏は造られた昭和~バブル当時には考えなかったメンテナンス面の問題が浮上して、崩壊、崩落を心配する人たちから解体の声が強く上がるようになりました。淡路島の世界平和大観音像が解体されましたが、そういう面でも時代を象徴していましたね」
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