全国で撤去が進む“巨大仏” 「珍寺」巡り35年の愛好家が語る「オウム真理教」と「バブル崩壊」が落とした影
「珍寺(ちんでら)」という言葉をご存じだろうか。寺や神社は荘厳なイメージで語られがちだが、日本各地には個性的な神社仏閣がたくさんある。例えば驚くほどやり過ぎた装飾があったり、巨大過ぎる大仏があったり、地域の独特過ぎる風習を反映したものを奉納していたりと、実に多様性に富んでいる。そんな「珍寺」を探して35年、訪れた記録を自身のホームページで発表し続けて25年という男性がいる。自営業のかたわらライターとしても活躍する小嶋独観氏だ。小嶋氏が珍寺を記録し続ける理由とは? さらに珍寺の中でも、とりわけ“大仏・巨大仏”について、昭和、平成、令和で取り巻く環境がどう変わったか小嶋氏に聞いた。【華川富士也/ライター】
700ヵ所の珍寺を訪問し、自作サイトで450以上も紹介
小嶋氏は本業の合間を縫って全国を巡り、昭和の終わりから平成、令和にかけて約700ヵ所の珍寺を訪れた。25年前に開設したサイト「珍寺大道場」では450以上もの個性的な寺社を紹介している。『奉納百景 神様にどうしても伝えたい願い』(駒草出版)などの書籍を複数上梓しているほか、「ワンダーJAPON」といった日本の“異空間”を紹介する雑誌でもライターとして活躍している。
先ごろ解体が話題になった兵庫県淡路市の「世界平和大観音像」が観光地として稼働していた1998年頃の貴重な内部写真や、「サングラス大仏」として人気になっている愛知県江南市の布袋大仏の内部も撮影。今やその石像が町のゆるキャラにまでなっている宮崎県の高鍋大師には、案内板ができるかなり前に訪れていた。他にも、有名な青森県・恐山の観光コースの外れに地元の人が死者の表札を置いていくという知られざる風習、山形県東部で結婚せずに亡くなった子のために結婚式の絵馬を奉納する「ムサカリ絵馬」など、幅広く取材、記録してきた。
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