朝ドラ「らんまん」 主人公、出演陣、ストーリー…3分で読める放送開始前に知っておきたい情報と知識
2:ストーリーが魅力的
物語は万太郎(幼少期は森優理斗・9、小林優仁・11)が5歳の時から始まる。父親が他界していたため、もう造り酒屋「峰屋」の当主だった。
母親・ヒサ(広末涼子・42)は病気がちだったものの、万太郎にありったけの愛情を注ぐ。義姉の綾(幼少期は太田結乃・10、佐久間由衣・28)も可愛がってくれた。女中・たま(中村里帆・23)からも大切にされた。
もっとも、分家の親戚たちは幼く、ひ弱な当主が気に入らない。陰口を叩く。すると、それを聞いた祖母のタキ(松坂慶子・70)が激高する。当時、分家が当主を批判することは禁物。第一、タキは万太郎が大物になると信じて疑わなかった。
一方、自分の体が弱いことを恨めしく思っていた万太郎の前に、1人の男が現れる。その男は、万太郎が生まれた1862年に土佐藩を脱藩した坂本龍馬(ディーン・フジオカ・42)だった。万太郎は龍馬の言葉に影響を受ける。
富太郎博士と龍馬の接点は確認されていない。もっとも、裕福だった牧野家が秘かに龍馬たちに資金援助していた可能性を全否定は出来ない。
この作品は大河ドラマと同じく、史実で明らかになっている部分はそれに沿い、分からないところには推理や想像を交える。そのほうが観る側にも面白いだろう。これは史実だが、物語には自由民権運動も登場する。そもそも「自由は土佐の山間より」と言われるほどで、高知は中江兆民,板垣退助ら多くの自由民権運動家が出た。
高知と出身者が日本の近代化と民主化に果たした功績も描く
物語には自由民権運動の支援者で、「民権ばあさん」と呼ばれた楠野喜江が登場する。演じるのは島崎和歌子(50)。実在した楠瀬喜多がモデルだ。
夫が他界し、戸主だった楠瀬は1878年、県から納税を求められると、日本で初めて女性参政権を求めた。納税する義務を果たせというのなら、参政権という権利を与えよと主張したのである。富太郎博士が16歳の時だった。
正論にほかならなかった。このため、当時の高知の自治体2つが、県区会議員選において、「男女区別なく選挙権を与える」という規則(条例)を制定した。ただし、国の法律が改正されてしまい、楠瀬が勝ち取った女性参政権は4年間限定で終わった。
GHQの指示もあって、ようやく女性参政権が法制化されたのは1946年。楠瀬の主張から実に68年後だった。高知市内には楠瀬の功績を讃えて、「婦人参政権発祥之地」の碑がある。
富太郎博士も若いころは板垣と同じ自由党員で、自由民権運動に携わった。
「私の郷里も全村こぞって自由党員であり、私も熱心な自由党の一員であった」(『牧野富太郎自叙伝』)
若き日の万太郎も物語の中でやはり自由民権運動に参加する。
漁業も農業も盛んで、四万十川や足摺岬など多くの天然観光資源にも恵まれた高知だが、朝ドラの舞台になるのは藤田朋子(57)がヒロインだった第40作「ノンちゃんの夢」(1988年度上期)以来2度目で、意外と少ない。
その分、この作品は地域が生んだ偉人・富太郎博士の足跡だけでなく、高知とその出身者が日本の近代化と民主化に果たした功績も描かれる。
脚本は長田育恵氏(45)が書く。演劇畑が長く、シム・ウンギョン(28)主演のNHK「群青領域」(2021年)が評判高かった。
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