相次ぐ「大物テレビマン」の退職… キー局の高待遇を捨てた“独立”で得られるものとは

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「自由」に魅力

 一昔前までは、地上波のバラエティ番組のようなエンタメ系の映像コンテンツというものが、テレビ以外の場所ではほとんど存在していなかった。しかし、現在では、AbemaTV、Amazon Prime、Netflix、YouTubeなど、数々の映像配信サービスやウェブメディアがあり、そこでエンタメ系の映像コンテンツが大量に作られ、配信されている。

 その制作費も地上波テレビに見劣りしないものだったりする。しかも、地上波に比べると制限が少なく、自由に番組作りができる場合も多い。

 さらに言えば、Netflixなどではそれが字幕付きコンテンツとして世界中に配信されたりもする。そういう意味でも可能性は大きく広がっているのだ。

 YouTubeという市場にもテレビ制作者がどんどん参入している。「ユーチューバー」というものが注目され始めた頃には、一般人が個人として映像コンテンツを作って配信するのが一般的だった。

 しかし、最近では、芸人やモデルなどのプロの芸能人がどんどんYouTubeを始めていて、映像や企画内容のレベルが上がって、競争が激化している。

 芸能人のYouTubeチャンネルでは、テレビ制作の経験があるディレクターや作家が制作に携わっているケースが多いし、それ以外でも元テレビマンがYouTubeで成功を収めているケースもたくさんある。

 エンタメ系の映像コンテンツの世界でテレビ局がいまだに大きな影響力を持っていることに変わりはない。しかし、そこで映像制作のノウハウを身につけたテレビマンが、ほかの分野に進出する事例は相次いでいる。今後はそこから新しいコンテンツが生まれ、新しい文化が育っていくのだろう。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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