「どうする家康」のレズビアン側室に時代考証を務めた専門家は「脚本を読んで驚いた」
「さすがに驚いた」
実は、昨年の大河「鎌倉殿の13人」でも、源実朝(さねとも)が同性愛者として思い悩む姿が描かれ、NHKの“戦略”が見て取れる。
ドラマ評論家の成馬零一(なりまれいいち)氏が分析するには、
「近年は男性同士の恋愛を描いた『おっさんずラブ』のヒットに始まり、性自認の葛藤を描くドラマも珍しくなくなってきました。そのためマツジュンや岡田准一(織田信長役)などジャニーズ目当てで『家康』を見ている女性視聴者も、こういった脚本にさほど忌避感はないと思います。今回脚本を務める古沢(こさわ)良太氏には時代劇の経験がほとんどありません。NHKとしては、これまでの大河と違う新しい雰囲気を期待しているということでしょうね」
しかし、あくまで舞台は戦国時代。歴史学者という「プロ」の目にはどう映るか。同作で時代考証を務める静岡大学名誉教授・小和田哲男(おわだてつお)氏に聞いた。
「10話の脚本を読んだ時には、さすがに“えっ”と驚きました。この時代には男同士の恋愛はタブーではなかったのですが、女性同士というのは聞いたことがありません。ただお葉の人柄までは今に伝わっておらず、時流を踏まえた上でこういう脚本になったのだろうとOKを出しました」
決してありえないことではない
NHKの番組「歴史探偵」でレギュラーを務める歴史研究者の河合敦(かわいあつし)氏も、決してありえないことではないと解説する。
「側室となったお葉は女の子(督姫・とくひめ)1人しか産まず、その後長い間公的な記録には登場しません。たまたまなのか、何か“事情”があり家康と距離があったのかはよく分かりませんが、そこを逆に生かして今回の『LGBT』設定につなげているのでは」
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