「ドバイワールドカップ」日本馬3勝の快挙! 「日本馬」が海外で勝てるようになったワケ
うちの愛馬を中東に
それに加えて、
「海外レース、特に中東で行われるレースは、賞金が日本のレースより格段に高い。ウシュバテソーロが勝った『ドバイワールドカップ』は、優勝賞金が約9億円です。日本のG1の最高賞金は、『ジャパンカップ』で、それでも賞金5億円ですから、その差は歴然としています。この高額賞金を狙わないわけにはいかないと、日本の馬主さんたちもこぞって“うちの愛馬を中東に”となり、挑戦者が増えているのです」
たしかに、今年のドバイには、全部で26頭もの日本馬が出走。ウシュバテソーロが勝った「ドバイワールドカップ」は、出走馬14頭中、8頭が日本馬だった。
「レースを主催しているのはアラブの王族なのですがご存じの通り、彼らはお金が有り余っていますから、自分の馬が、自国で、世界中の馬と戦うところを観戦したいがため、高額な賞金を払うのです。そして、そんな高い賞金が欲しい日本の馬主たちと、ウインウインの関係になっているというわけ」
海外遠征に出るのは……
とはいえ、“ワールドカップ”という名の通り、日本だけでなく、競馬の本場である欧米からも強豪が集うはずで、それこそWBCのような、ハイレベルな戦いとなっているはず。
「これも大きな声では言えませんが、実は、アメリカやヨーロッパ諸国からは、本当に強い馬は、ドバイにはそんなに来ていないのです。というのも、あちらの馬主からすると、本当に強い馬は、海外のレースよりも、自国の格式のあるレースをしっかり勝ちたい、という考え方が強いのです」
なぜ、自国のレースを優先するのかといえば、
「もちろん全てとは言いませんが、欧米の馬主の多くは、“その先”を常に考えている。つまり、競走馬の引退後のことです。特にいい結果を残した牡馬の場合、種牡馬となる可能性がでてきますが、その価値は、現役時代の獲得総賞金よりも、その国の格式の高いレースをどれだけ勝ったか、によって決まってくるのです。だから強い馬であればあるほど、種牡馬としての価値を高めるため、常に国内のビッグレースが優先となる。長距離輸送に疲れて、体調を崩したり、怪我でもしたら大変ですしね。ですので、海外遠征に出るのは、ちょっと下のクラスが多い。こういった点も、中東で日本馬が“無双”するようになった遠因かもしれません」