【舞いあがれ!最終回】最後に脚本家・桑原亮子さんのメッセージを紐解く

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誰にでも居場所や役割はある

 舞が8歳の時に受けたばんばからの教えで、一番大きな意味を持っていたのはこの言葉にほかならない。

「出来んことは次に出来るようにしたらよか。それにな、出来んなら、出来ることば探せばよかとよ」(第6話)

 桑原氏は放送前から、居場所や役割は誰にでもあるということを描きたいとしていた。それが凝縮されたセリフだった。

 ばんばは第115話で脳梗塞によって倒れ、左手足に後遺症が残った。このため、一時は生きる気力を失ってしまったものの、舞の励ましもあって立ち直り、貴司の代わりに古書店「デラシネ」の店番を務めるまでになった。年齢や能力に関わらず、誰にでも居場所や役割があることが表された。

 一方で、舞が立ち上げた「こんねくと」は、東大阪の町工場群の技術力をより生かすことを目的とした。刈谷たちにも協力した。舞は東大阪という郷里を“舞いあがらせる”ことが自分の役割と考えた。

 五島編の第10話。舞は一太たちと「ばらもん凧」を揚げた。満面笑みだった。みんなと一緒だったからだ。凧揚げは1人でやったって、面白くない。

 舞にとって電動垂直離着陸機の飛行も仲間や家族が見守ってくれてこそ意味を持つ。気が付くと、1人でいることがほとんどないヒロインだった。舞は仲間や家族と一緒にいてこそ輝いた。

 コロナ禍時代で人とふれあうのが簡単ではないからこそ、人同士が寄り添うことが有意義なものであると強調したのだろう。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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