ソフトバンク、球界初「4軍制」が本格始動 「第2の千賀」を生む土壌へ…“二刀流”に挑戦する選手も登場

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「アピールするには、打たないといけない」

 3月11日の慶大戦、翌12日の鹿児島ドリームウェーブ戦でいずれも「4番」を務めたのは、育成4年目で黒沢尻工出身の石塚綜一郎だった。

 2軍の公式戦、ウエスタン・リーグで昨季、2本塁打を放ったパンチ力は、期待大の右打者だ。その石塚は、11日には三塁でフル出場し、12日は捕手としてスタメンマスクをかぶり、6回からは一塁の守備についた。

「僕の中では、ホークスというチームを見た時に、キャッチャーが一番、チャンスがあると思っているんです」

 石塚の大目標は「捕手で1軍」なのだ。ただ、捕手だけでも、支配下と育成合わせて12人。「4軍制」のソフトバンクにおいて、それぞれのカテゴリーに3人ずつという計算になり、それは試合を行う上では、最低限必要な人員配置だ。その中で結果を出し、昇格へのチャンスを見出していかなければならない。

 もちろん、捕手としての評価は重要だ。一方で、石塚の場合は、その打撃面が高く評価されている。「打てる捕手」としての特色を出していくために、まずは「打」を前面に押し出していこうというのだ。

「アピールするには、僕の場合は打たないといけないんです。そうすると、打席数がないといけない。打席に立たせてもらうことでチャンスをもらっていかないといけないんです」

マルチな活躍で1軍入りを目指す

 そのために、捕手以外のポジションも守るのだ。一塁、三塁、さらには外野にもその可能性を広げていく。「守れることに越したことはないですから」と2月の福岡・筑後キャンプでも、捕手練習とは別に、三塁からのスローイング練習を繰り返し、シートノックでは外野にもついて、飛球を追っている。

 つまり、試合に出るために、あらゆるポジションが「できる」というのを見せ、スタメンに名を連ねる。それは「打」での結果を出すために、打席数を増やすための“戦略”でもある。そうした成果を積み重ねていくことで3軍、さらには2軍の「レギュラー捕手」の座を固めていこうというわけだ。内野も外野もできる捕手となれば、そのマルチぶりで1軍入りの可能性だって出てくるのだ。

 石塚以外でも、4年目の内野手で東海大付属札幌高出身の小林珠維は、昨季まで支配下だったが、今季から育成登録に切り替わったのを機に、投手との「二刀流」へのチャレンジを始めた。慶大戦では4回から3イニングを投げ、3安打2失点。最速147キロをマークすると、翌日には「1番DH」でスタメン出場。1回に左前打を放っている。

 投手登録の育成3年目で、神村学園高出身の桑原秀侍も、慶大戦では7回に代打で登場して左前打を放ち、そのままショートの守備につくと、翌12日は「8番遊撃」でスタメン出場し3安打2打点をマークした。

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