センバツでスカウト陣が驚いた“ノーマーク右腕”も…ドラフト戦線に浮上した逸材

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最速151キロを誇る本格派

 3月21日に行われた選抜高校野球の大会第5日。甲子園のネット裏に陣取るスカウト陣の目が鋭くなっていた。その理由は、光(山口)対彦根総合(滋賀)、専大松戸(千葉)対常葉大菊川(静岡)、東海大菅生(東京)対城東(徳島)のいずれの試合でも、プロ注目の投手が登板したからだ。本記事では、ドラフト候補に名を連ねた彼らの実力を分析していく。【西尾典文/野球ライター】

 前評判が最も高かったのは、専大松戸のエース、平野大地(新3年)である。最速151キロを誇る本格派で、今大会ナンバーワン右腕の呼び声が高い。
 
 常葉大菊川を相手に7安打を浴びるものの、最後まで連打を許すことなく、完封勝利を飾っている。ストレートは、自己最速に及ばない146キロにとどまったが、1回から9回までの全イニングで140キロ以上をマーク。与えた四球は0と、コントロールも安定していた。

「立ち上がりは、変化球が多くて慎重に投げている様子でしたが、勝負どころでは、力のあるボールが来ていました。去年の秋に比べると、(コントロールや球威など)全ての面が良かったですね。緩いカーブを上手に使っており、単純にストレートが速いだけではなく、しっかりとしたピッチングができていました。現時点では、今年の高校生投手で、トップクラスの実力だと思います」(パ・リーグ球団のスカウト)

“異色の経歴”

 変化球は、カーブとスライダー、フォークを操る。なかでも、スライダーは、スピードにバリエーションがあり、前出のスカウトが指摘したように、高校生でトップクラスの“完成度”だ。専大松戸の持丸修一監督は、同校OBで同じく投手の横山陸人(ロッテ、2019年ドラフト4位)と深沢鳳介(DeNA、21年ドラフト5位)と比べても、平野のほうが、ポテンシャルが高いと語る。

 実は平野、注目のドラフト候補としては“異色の経歴”を持っている。中学時代は、関東屈指の強豪「取手リトルシニア」でプレーしていたが、当時はキャッチャーとファーストをやっていた。本格的に投手へ転向したのは、専大松戸に進学してから……。わずか2年たらずで、全国屈指の高校生投手に成長したことに、驚きを禁じ得ない。

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