波乱のセンバツ、強豪「履正社」がまさかの初戦敗退…そこに見えた“わずかな綻び”と“希望”

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優勝候補の一角という評価も…

 改めて“野球の難しさ”を感じた試合だったー。3月24日に行われた選抜高校野球第3試合は、履正社(大阪)のエースで、左腕の福田幸之介(新3年)が、7回まで高知をノーヒットに抑えながら、8回裏に逆転を許して2対3で敗れた。昨年、岡田龍生監督(現・東洋大姫路監督)からチームを引き継いだ多田晃監督にとって、ほろ苦い“甲子園初陣”となってしまった。【西尾典文/野球ライター】

 戦前の予想では、履正社がかなり有利と見られていた。履正社は、昨年秋の近畿大会、準々決勝で報徳学園(兵庫)に敗れ、近畿地区で5番目という立ち位置で選抜出場を果たした一方で、公式戦のチーム打率は4割を超える強力打線を誇り、優勝候補の一角という評価さえあった。

 7回まで1-1のロースコアで試合は進み、8回表、履正社は、中軸の連打と犠牲フライで2-1と勝ち越した。この時点で、高知打線を完全に封じ込んでいた履正社の勝利を確信したファンも多かったはずだ。にもかかわらず、高知にまさかの逆転勝ちを許してしまった。履正社の守備に“思わぬ綻び”が出たことが原因だ。

 まずは2回表。履正社は、先頭打者から三振を奪いながら、振り逃げで出塁を許している。この時の投球は大きく逸れたわけではなく、捕手の坂根葉矢斗(新3年)が一塁へ悪送球したためだ。これは、あまりに“軽率”と言われても仕方のないプレーだった。思わぬエラーから、福田が制球を乱す。連続四球を与えて満塁のピンチを招き、暴投で先制点を許してしまう。

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