有事で「日本人の6割が餓死」という衝撃の研究 成長ホルモン牛肉、農薬汚染食料に頼らざるを得ない食料事情
「危険な輸入食品」
しかも、ただでさえ低い日本の食料自給率は、もうひとつの大きな問題を孕(はら)んでいます。当然のことながら、食料自給率の低さは日本の食卓が輸入頼みであることを意味しています。そして私たちの食卓は、「危険な輸入食料」によって支えられているのです。
例えば「成長ホルモン肉」です。
牛や豚などの成長を促す化学物質である成長ホルモンの代表的なものでは、女性ホルモンとして知られる「エストロゲン」が挙げられます。エストロゲンは乳がん細胞の増殖因子であることが指摘されており、そのため日本では使用が認められていません。EUは、成長ホルモンが投与されたアメリカ産牛肉の輸入を禁止しています。当のアメリカでも、ホルモンフリーの牛肉に対する需要が高まっているといいます。
ところが、検査体制等が“ザル”な日本にはアメリカ産成長ホルモン投与牛肉が輸入されています。つまり、アメリカ本国やEUで売れない、あるいは売りにくくなった“危険牛肉”を日本人は食べさせられているのです。エストロゲンは自然な状態でも牛の体内に少量存在しますが、アメリカ産の輸入牛肉からは国産牛肉の600倍ものエストロゲンが検出されたという話もあります。
なお、発がんとの関連が指摘され日本では禁止されている「γBGH」というホルモンを投与した牛の、チーズなどの乳製品もアメリカから輸入されています。しかし、やはり当のアメリカでは消費者運動によって、スターバックスなどがγBGH使用乳製品の排除を表明するに至っています。
「日本輸出用のものだから大丈夫だ」
また“農薬汚染食料”もしかりです。
日本では収穫後(ポストハーベスト)の農作物への防カビ剤散布は禁止されています。ところが、アメリカの農家で研修したことがある日本の農家の人はこんな証言をしています。
「『これはポストハーベストの農薬散布にあたると思うけど大丈夫なのか?』と聞いたら、彼らはこう答えました。『日本輸出用のものだから大丈夫だ』と」
アメリカの農家の人は半ば冗談のつもりで言ったのかもしれませんが、それくらい日本人の食卓は“なめられている”可能性があるということではないでしょうか。いずれにせよ、日本に輸入されている食料へのポストハーベストの農薬散布が疑われる状況なのです。
γBGHの話で分かるように、消費者の意識次第で危険食料の摂取は防げるのに、情報を知らないせいなのか、あまりに日本人は無自覚です。
そうはいっても、今さら食料自給率100%を目指すのは無理ではないかと思われるかもしれません。たしかに、すぐには難しいでしょう。
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